中東・ホルムズ海峡から石油が入ってこない状況を受けて、政府は、過去最大となる備蓄の放出に踏み切りました。
備蓄の放出がいつまで続けられるのか、そして、日本経済はどこまで耐えられるのでしょうか。
石油備蓄と補助金にも“限界” ホルムズ海峡の封鎖が続いたら…
日本の「石油備蓄」は、政府が管理する「国家備蓄」と、石油会社に義務付けられている「民間備蓄」があります。合わせて約4.6億バレルで、これは約250日分の消費量を賄える量です。
今回は過去最大の放出で、民間備蓄と国家備蓄の両方から、合わせて0.8億バレルを出します。
まだ全体の約6分の1なので、余裕があるようにも見えますが、この備蓄は実際どこまで使えるのでしょうか。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは、今回のように長期戦が予想される状況では、国家備蓄で考えるべきとした上で、「半分程度は残した状態で、危機を解消しなければ、社会に不安を招いて混乱が生じかねない」と指摘します。
つまり、国家備蓄が半分程度になるまでに使える残りは、約0.8億バレルです。
もしホルムズ海峡の封鎖が続き、これも放出するとなったら、いつまでもつのか。木内さんの試算によれば、100日程度だといいます。
その間に別の所から石油を持ってくることはできるのでしょうか。
ホルムズ海峡以外のルート「コストは約2~3割増」と専門家
例えば、中東の産油国からはホルムズ海峡を通らずに、紅海へ抜けるルートもあります。
ただ、現状のインフラでは、供給できる量がホルムズ海峡ルートより大幅に少なく、また治安のリスクもあります。
また、アメリカやカナダからの購入を増やすことや、中南米からの新規調達も考えられますが、他の石油輸入国との間で争奪戦も予想され、木内さんは「単純に物理的な量の確保ができたとしても、調達コストは約2~3割増えるのではないか」と指摘します。
衣類やシャンプーなど…多くの生活用品が値上がりか
石油の不足は、燃料としてだけではなく、生活用品にも影響を与えます。
あらゆるプラスチック製品に加え、衣類やシャンプーなどの大もとの原料になる「ナフサ」も原油から作られますが、ここにはガソリンのような補助金は適用されていません。
今、出回っているナフサ由来の製品は、原油価格の高騰前に作られたものですが、1か月ほど経つと、大もとの原油高騰の影響を受けて生産コストが上がり、値上がりしていく可能性もあるとみられています。
そして、政府の補助金によるガソリン価格の抑制策も、無限には続けられません。
1リットル=170円程度に抑えるためには、半年で2兆円が必要となる見通しです。
木内さんは「財政が悪化すれば、円安が進んで輸入コストが上昇し、さらに原油高を招く、負のスパイラルを招く」と指摘します。
また、原油価格が下がらず、供給量も十分に確保できない状況が続けば、「ガソリンが今まで通り使えるように補助金で価格を下げるのではなく、逆にガソリンの消費を抑える方向に誘導しなければならなくなる」といいます。
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