いま抹茶が世界で大ブームに。日本でも“抹茶バブル”が到来し茶葉の価格が高騰しています。ニッポンの抹茶が、なぜここまで世界で愛されているのか?そのルーツを探りました。
■「魅力は味」空前の抹茶ブーム!外国人がハマるワケ
最近やたらと街中で見かけるようになったのが、抹茶大好きの外国人。
1日、都内の抹茶教室を訪れてみると…あっちにも、こっちにも、外国人の姿が。こちらの教室では、なんと9割がこうした外国人観光客なんだそうです。
イタリアからの観光客
「最近、若い世代の間で、ちょっとずつ(抹茶は)人気になっているんです」
そこで、世界的な抹茶ブームがなぜ起きているのか。そのルーツを調べて来ました。
まずは、「抹茶大好き」な外国人に魅力を聞いてみると…
アメリカからの観光客
「とにかく味が好きです。それにヘルシー」
メキシコからの観光客
「魅力はやっぱり味よ。甘くなくて、それでいて独特な風味があって、気分も良くなるんです。健康にいいものも入ってますしね」
メキシコからの観光客
「アイスを食べ終わった後でも、口の中に抹茶の風味が残っているんです。だから素晴らしいんです」
魅力は、なんといっても抹茶独特の自然な甘さ。
若者たちも…
ルーマニアからの観光客
「宿題に集中したいとき、抹茶を味わうんです」
トルコからの観光客
「勉強しているときに抹茶を飲むと、集中できます。コーヒーはカフェインが多すぎるけど、抹茶は量がちょうどいいんです」
スイスからの観光客
「スイスで一番おいしい抹茶です」
スイス最大の都市・チューリッヒで人気の専門店「MATCHA CLUB(マッチャ クラブ)」は、抹茶ドリンクを片手にショッピングができる、おしゃれなお店です。
海外での抹茶人気が高まるにつれ、ニッポンの抹茶を含む「緑茶の輸出額」は年々増え続け、5年連続で過去最多を更新。2025年もすでに去年の数字に迫る勢い。
お茶作りの現場では・・・
■「抹茶バブルと言って間違いない」お茶づくりの現場からも嬉しい悲鳴
お茶農家 堀井聡さん
「え、ニコニコできるぐらい。それは嬉しいですよ」
抹茶の茶葉が、去年の2倍近くで取引され、売上も急増。
お茶農家 堀井聡さん
「私の持っている畑の中で、いま2割ほど。抹茶に向けたてん茶製造というのにシフトしていく」
こちらでは、もともと煎茶を作っていましたが、3年前から畑の一部を抹茶用に変えたといいます。
抹茶の加工工場からも嬉しい悲鳴が。
丸山製茶 丸山昌侑さん
「注文の数が多すぎて、なかなか追いつかないぐらい」
今年から抹茶専用の工場を新設したものの、世界中から「抹茶」の注文が相次ぎ、パンク状態。アメリカやヨーロッパはもちろん、最近は中東からも依頼があるようです。
丸山製茶 丸山昌侑さん
「抹茶バブルって言って間違いない」
では、いつごろから抹茶ブームは始まったのでしょうか?
■「飲む」抹茶から、「食べる」抹茶へ 始まりのルーツはハーゲンダッツ?
ドイツからの観光客
「(ドイツでも)すごく人気になってきています。たぶん、ここ2年くらいかな」
オマーンからの観光客
「オマーンではコーヒーが非常に人気です。だけど、最近は、どのカフェでも抹茶が置かれ、大人気になってきているんです」
外国人53人に聞いたところ、ヨーロッパやアジア、南米などの一部の国では、ブームは5年ほど前から。一方、アメリカでは、10年以上前にブームが始まっていたと回答。
一体、そのルーツはどこにあるのでしょうか?
そこで、向かったのは抹茶の本場、京都・宇治。訪ねたのが…
中村藤吉本店 中村省悟社長
「中村藤吉本店の代表を務める中村省悟です。僕で7代目ですね」
創業・1854年、江戸時代末期から続く老舗中の老舗の茶商「中村藤吉本店」。中でもお店のウリは、抹茶をふんだんに使ったソフトクリームに・・・白玉と小豆をそえた生茶ゼリイ。こちらは、店一番の人気商品。
実はココ、全国でもいち早く“抹茶スイーツの開拓に乗り出した”お店。ここのスイーツを食べるためだけに、わざわざ外国人がやってくるそう。
はじめて登場したのが…
中村藤吉本店 中村省悟社長
「98年ぐらいだったと思います。うちはソフトクリームからだったんですけど」
かつて、抹茶と言えば、少し『格式が高い飲み物』と見られがちでしたが、こちらのお店では、誰でも味わえるようにと、25年以上前に「抹茶ソフトクリーム」を開発。
これまでの「飲む」抹茶から、「食べる」抹茶へと変わっていったのです。
では、この『抹茶のソフトクリーム』がブームのきっかけになったのでしょうか。すると、意外な答えが。
中村藤吉本店 中村省悟社長
「ハーゲンダッツもきっかけだと思いますし」
ブームの始まりは、ハーゲンダッツ!?
調べると、抹茶ソフトが発売される前の1996年、抹茶を使った『グリーンティー』アイスクリームがハーゲンダッツから発売。
日本茶を海外に輸出している老舗業者にも聞いてみると・・・
ヘリヤ商会 谷本 宏太郎社長
「ハーゲンダッツ・ショックって言って、いきなり抹茶がブワーンと、売れたんですよ」
ハーゲンダッツ・ショック以降、日本でも抹茶ドリンクが登場するなど、世界的なブームに。
では、ハーゲンダッツのアイスがブームのルーツなのか。
■仕掛け人の“日本のお茶文化を守りたい”思いからブームに
しかし、調べを進めると・・・1996年の新聞記事で「アメリカで和風アイス」という見出しの記事を発見。ハーゲンダッツの抹茶アイスが発売された1996年の3年前に、すでに別の“抹茶アイス”がアメリカで売られていました。
販売したのは、いまもアメリカで存続している「前田園」。
当時の社長は、前田 拓さん。取材を進めると、日本に一時帰国しているとの情報が。
そこで、さっそく空港へ向かうと…接触に成功。
――抹茶ブームの仕掛け人ですか?
前田拓さん
「まあ、そうなるかもしれません」
32年前、なぜアメリカで抹茶を売り出そうと思ったのでしょうか。
前田拓さん
「(当時)どんどん日本人は、洋食化していって、日本茶も飲まれる場所が減ってきたんですね。このままいったらお茶は飲む場面がなくなるから、なくなるだろうなと…」
1993年にアメリカで発売された『前田園の抹茶アイス』。これをきっかけに、抹茶の新しい楽しみ方がアメリカで広まったそうです。
その後、世界に拡大していった抹茶ブームをどう見ているのでしょうか?
前田拓さん
「それは嬉しいですよね。そのつもりでやったことがこんなになるのかと。日本の抹茶がやっぱ美味しいよねというのが、長く続いてくれたらいいと思いますね」
ひとつのアイスから始まった世界的抹茶ブーム。
そこには、「日本のお茶文化を守りたい!」という思いが込められていました。
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