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“トランプ関税”で乱高下…株価下落の時に「やったらダメなこと」とは?【Bizスクエアで学ぶ 投資のキホン#31】

経済
2025-05-01 07:30

トランプ大統領に振り回される世界経済、株価も乱高下。そんな時だからこそ知りたいお金の増やし方。株価下落時は「売る?」「買い増す?」「金を買う?」やってイイことダメなこと。


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株価下落時「売った方がいい?」

トランプ氏の“朝令暮改”で株価の乱高下が続く状況に『ニッセイ基礎研究所』の井出真吾さんも「出した予想を皆さんに信じてもらっていいのか懐疑的になるほど」と話すが、
【Qこれ以上損を拡げないために下落時は株は売った方がいいのか?】

井出さん:

「そういう考え方の人もいると思うが、私は売らない方がいいと思う」


その理由は“過去の株価の動き”にあるという。


例えば【S&P500】(配当込み・円ベース)で見てみると
▼2008年⇒リーマンショックで、高値から「約60%下落」
▼約5年半で元値を回復
▼2025年4月までの12年間で「約6.3倍」に


つまり、リーマンショック前に「100万円」持っていたとすると
「100万円」⇒「約40万円」と一時的に減るが、そのまま持っていたら今では「約630万円」ということ。


井出さん:
「今回また同じになる保証は全くないが、このYouTube配信でも2年半前からずっと言っているように、【株価指数というのは乱高下しながらも長期では上昇する】性格。S&P500も2015年のチャイナショックや2020年のコロナでも大きく下げた。2022年にもアメリカ株でコロナバブルが崩壊して確か20%ぐらい下げた。乱高下しながらもそれを乗り越えた人だけが630万円になっている」


株価下落時「積み立て止める?」

それでもやはり怖いという気持ちがある場合、
【Q一旦積み立てを止めるというのは?】

井出さん:

「定期的に買っているとすると、買った直後に下がると思ったら今買わない方がいいのではと思うかもしれないが、じゃあ、『積立を停止して、そのお金どうするんですか』と。銀行に置いておくしかない。インフレに負けるリスクを避けるのか、株価下落リスクを避けるのか、どっちのリスクを避けたいですかという話」


仮に、毎月1万円積み立て投資をしているとする。
積み立てを止めた1万円を使うのはいつなのか、ということだ。


井出さん:
「明日、来週使うんですか?若い人が老後に備えてということなら“何十年も先に使う1万円”。その何十年後の株価は今より高いと私は思う。だから【下がった時に売る必要もないし、積立を停止する必要もない】と思っているし、むしろ下がった時は安く買えるチャンス」


株価下落時「買い増ししていい?」

井出さんも老後のために積み立て投資中とのことで、「今回の下落は結構ラッキーだと思っている」とのこと。
下落した4月7日には「さすがに怖いから大量には突っ込めないけど」と少し買い増したという。


【Q株が安くなっている時は、むしろ買い増した方がいい?】


井出さん:
私はありだと思う。ただ買うタイミングがものすごく難しい。相場の格言で『落ちるナイフに手を出すな』とある。ナイフが落ちている時に手を出しちゃダメと。一旦床までドーンと落ちて、ちょっと跳ね返ってきたぐらいのところで掴んだ方がケガが少なくて済むよねということだけど、ナイフがいつ床につくかはわからない。なので私の考え方は、ある程度下がってきて安値圏入ってきたなと思ったら、明日もう一段下がるかもしれないけど下がってもいいやぐらいの覚悟で少し買う


――少しがポイントか。

井出さん:

「例えば5万円ぐらい追加投資しようかなと思ったら5回に分けて1万円ずつ。もしくは4月7日みたいにドーンと大きく下がった時は2万円買ってみるとか、逆に5000円に減らしてみるとか。多少の差で調節はしながらだけど、明日もう一段下がってもいいやと。5年、50年後に振り返った時に、3万円台前半というのは安値圏で買えたよねと思えたらいい


株価下落時「株より金?」

では「金」への投資はどうか。


一時は1オンス=3400ドルを超え、4月26日は3298ドルと、ここ最近は「上昇が急ピッチすぎる」と井出さんは言うが、
【Q株が安くなっている時は、金や現物資産を持った方がいい?】

井出さん:

「安定志向の人なら、持っていてもいい


井出さんによると、金やビットコインのような暗号資産には通貨とは違うとらえ方があるという。


例えば米ドルや日本円など国が発行する通貨は、発行量が多少の増減はあるものの長期的には増えていく。つまり、
▼米ドルの価値⇒アメリカという“国の価値”が変わらなければ米ドルの価値は下がる「だから価値が下がらないように国力を強めている」(井出さん)


それに対して、「金」は埋蔵量に限りがある。暗号資産のビットコインなどもやはり限られている。ということは、
▼相対的に米ドルや日本円よりも価値が上がっていくはずだ、という考え方


 井出さん:
「もちろん長期的はという話で、短期的には乱高下する。ただ金の価格を見ても、確かに25年間で上がっているし、数十年後には3000ドルよりずっと高くなっていると思う」


――ということは、金を持つのは…

井出さん:

「あり。ただ利回り、いわゆるリターンを考えると、金のリターンはもしかすると株よりはちょっと低いのかもしれない。というのは、金自体は何も生み出さない。株式や社債というのは、裏付けとして企業活動がある。特に株式はわかりやすいと思うが、企業活動、経済活動があって企業価値が高まるから株価も上がるということ」


機関投資家は「安全資産」として金保有

金自体は金利もつかず、ややもすると利回りは株ほど高くないかもしれないが、長期的に上がることを考えて機関投資家は買っているという。


井出さん:
ショックアブソーバー(衝撃吸収)として金を資産の5%ぐらい持つ機関投資家もある。景気が悪くなったり、リーマンショックとか株価が下がる時は、一般的には国債が買われたり、金なども安全資産として資金の逃げ込み先として選択されることがある。機関投資家というのは、安定運用を目指す傾向がある。特に年金とか生命保険とか」


なので、【個人でも安定志向の人なら持っていてもいい】というわけだが、一方で、井出さんは最近の金の急ピッチな上昇がこの先も続くことには懐疑的で「個人的にはあまり深追いはしない方がいいと思う」とのことだ。


波乱相場はいつまで?

では、いつ頃株価は上向くのだろうか。
井出さんは「トランプ氏に聞いてくれという話」と苦笑しながらも、「2025年の年末あたりからは落ち着くのでは」と見ている。


井出さん:
「おそらくだが、最悪期は一旦過ぎたと思っている。相互関税ではようやくトランプ氏やナバロ上級顧問あたりもまずいなと気づき始めた様子もある。大きいのはやはり市場がNOを突きつけたトリプル安で、2回ほどアメリカ売りをやった。あれで彼らも軌道修正せざるを得なくなったのだろう」


さらに、支持率の下落や2026年の中間選挙も関係しているという。
選挙の1年前にはある程度軌道修正しないと間に合わなくなるので、「90日間である程度輪郭は整えるだろう」との見方だ。


井出さん:
「それよりもその次に待っている【トランプ減税の延長】や【規制緩和】とか、金融セクターなんか多分やるだろう。これから先は株価にポジティブな材料が待っている。貿易摩擦の方は日米の協議をまだ何回かやって、その過程で多分波乱は起きると思うが、そこはあまり気にする必要はない」


トランプ政権1期目の時にも、同じような波乱があったという。
2018年に貿易摩擦が表面化し、株のボラティリティ(価格変動率)が高くなったものの、2019年には落ち着いた。


井出さん:
「その経験にならえば、2025年後半ぐらいまでは波乱相場が続くだろうけども、年末から2026年ぐらいにかけてだんだん落ち着いていくと思っている」


格言「忍の一字は衆妙の門」

最後に今月の格言。意味は、【耐え忍ぶ精神を持つことができれば成功に繋がる】


井出さん:
「今の状況にぴったり。目先の暴落で一時的に含み損になったとしても見て見ぬふりをする。ただ、本当に見ないのではなく、株価の動きは見た方がいい。見たくない気持ちもわかるが、10%含み損になったな、15%なったなと知っておけば、売らずに持っていた時に『あの時15%マイナスまでいったけど回復したな』と成功体験ができる。なので、怖がらずに見る。そして気持ちは一喜一憂するけども、投資行動は右往左往しない


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