
”ロサンゼルスオリンピック™のマラソンで金メダル”。この大きな目標は陸上・長距離の不破聖衣来(22、三井住友海上)が学生時代、シドニー五輪(2000年)女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんの前で語っていた目標だ。
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今年3月に拓殖大学を卒業し、4月から社会人となった不破。入社した三井住友海上陸上部は、駅伝日本一7回を誇る名門で、土佐礼子さん(2001年世界陸上マラソン銀)や、渋井陽子さん(マラソン元日本記録保持者)など、名ランナーを数多く輩出している。不破は会社の広報部にも所属しながら、競技に取り組む。取材した5月、白を基調としたオフィスコーデに身を包み、先輩社員から指導を受けていた。
Q:オフィスワーク用の服は揃えた?
不破:
どこまでカジュアルにしていいのか分からなかったので、結構調べたりしました。白とかベージュ系が好きかなと思います。
Q:社会人としての抱負は?
不破:
陸上だけでなく色々な経験をして、人間として成長していきたい。応援される選手を目指して頑張りたい。
“スーパールーキー”衝撃の走りと度重なる怪我
拓殖大学1年時には、スーパールーキーとして注目された不破。出場した駅伝全4レースで区間賞を獲得。うち3つは区間新記録をマークした。
【不破選手・駅伝成績】
■2021年10月31日 全日本大学女子駅伝(5区9.2キロ)※区間新、6人抜き
■2021年11月14日 東日本女子駅伝(9区10キロ)※区間賞、2人抜き3位から逆転
■2021年12月30日 富士山女子駅伝(5区10.5キロ)※区間新、10人抜き
■2022年1月16日 都道府県対抗女子駅伝(4区4キロ)※区間新、13人抜き
さらに初挑戦となった10000m(21年12月、関西実業団ディスタンストライアル)では、日本歴代2位(当時)となる30分45秒21のタイムで優勝。世界への飛躍も期待されていた。
しかし、学生時代は度重なる怪我に悩まされ、1年以上レースに出られない時期もあった。走りたいけど、走れない苦しさを噛みしめ、地道な体づくりも続けてきた。大学の卒業論文では「女子長距離選手のコンディショニング」について研究。自らの経験を今後の競技生活に活かせる内容にした。
不破:
大学の時は何か月か故障してみたいなことが多かったんですけど、最近はそういう(故障の)不安が感覚的にもなくなってきたので、本当に陸上を楽しんでできているなと思います。
社会人デビュー戦 マラソンを想定したペースで好発進
5月23日、社会人デビュー戦となる東日本実業団陸上で不破は10000mに出場した。目標タイムは33分00秒切り。1kmあたり3分18秒のペースで、マラソンに換算すると約2時間20分。このペースはマラソンの日本トップレベルに匹敵する。5000mでペースを上げ、32分50秒03でフィニッシュ。目標タイムをクリアし、確かな手応えを得た。
不破:
自分のレースをしようという思いがあったので、できてよかったです。マラソンというのが一番の目標になるので、まずはマラソンの距離に対応できるように、ハーフマラソンから走れるようにしていきたいなと思います。
不破を学生時代から取材し、長い間苦しんでいた姿も見てきた高橋尚子さん。今回の復帰レースについて「10000mでは30分45秒21のタイムを期待してしまうところはあるけど、マラソンを走るという明確な目標があるので、今回の10000mのペースを体に刻んで、スタミナを鍛えながら、ロサンゼルスオリンピックまで怪我なく走ってもらいたい。そういった意味では、良いスタートを切ってくれたなと思います」と話し、目標を達成した不破を称えた。
次は7月にオーストラリアで行われる、ゴールドコーストマラソンで初めてのハーフマラソンに挑戦する予定。
■不破聖衣来(ふわ せいら)プロフィール
2003年3月25日生まれ。群馬県高崎市出身。
拓殖大学1年時に初めての10000mで日本歴代2位(当時)の30分45秒21をマーク。
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