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普段は「文学女子」?女子陸上界のエース・田中希実選手の“強さの秘密”【Nスタ解説】

スポーツ
2025-05-06 20:28

今シーズン日本記録を連発している女子陸上界のエース田中希実選手。その素顔と強さの秘密に迫ります。


【写真を見る】女子陸上界のエース田中希実選手 “現実逃避”したいときに読む本


中長距離のエース 田中希実選手の“強さの秘密”

高柳光希キャスター:
陸上女子中長距離界のエース田中希実選手。こちらの全てが田中選手が保持している日本記録です。

【田中希実選手 日本記録】
・1000m
・1000m室内
・1500m
・1500m室内
・2000m
・3000m
・3000m室内
・5000m
・5000m室内
・1マイル(約1.6キロ)
・1マイル室内
・1マイルロード
・5キロ(女子単独)

全部で13個あり、中でも1000m室内、1500m室内、3000m室内、5000m室内の4種目は、今年4戦連続で日本記録を樹立しています。ここまで実績が今シーズン出ているとなると、かなり調子が良いと思っていいのでしょうか?


TBSスポーツ局 白井杏子記者:
田中選手も「今シーズン序盤としては、今まで走れたことないような好タイムで走れている」と話していました。特に、5000m室内の記録は、前回の世界陸上ブタペスト大会の5000m金メダリストの記録よりも早い好記録で走れています。

そうした田中選手ですが、「まだ自分の中ではこれまで速く走れたことはない」と話しています。そう話すのも田中選手が「世界のトップオブトップに並びたい」という高い目標を掲げているからなんです。


高柳キャスター:
本来、田中選手は1500mや5000mが本職ですが、様々な距離の種目に挑戦しています。これは、世界のトップレベルを目指しているというのが大きいのでしょうか?


白井記者:
世界のトップでは、オランダのシファン・ハッサン選手が、この方法を実践しています。ハッサン選手は、数多くの種目に出場し、東京オリンピックでは5000m、10000mで、パリオリンピックではマラソンでも金メダルを獲得しています。

このように、田中選手は世界との差に対して、中距離に出場することでスピードを、3000m・5000mの長距離に出場することでスタミナ・ペース配分を身につけることを養っているそうです。

その中で田中選手は、“ラスト1周”をテーマとして、ラスト1周60秒を切るということを目標に、これまで練習しています。これは100mに換算すると約15秒ペースです。一般人が走ってもかなり難しいタイムです。このような過酷なことに取り組んでいる選手でもあります。


井上貴博キャスター:
中距離と長距離、さまざまな距離を走ることで鍛えられる、という理論はわかりますが、これを成しえてる所以は何なのでしょうか。


スポーツジャーナリスト・大阪芸術大学教授 増田明美さん:
やはり驚異的ですよね。お父さんと二人三脚でやっているということ、アメリカのグランドスラム陸上というところで場数を踏むこと、そういう日々の練習の賜物です。


普段は「文学女子」意外な素顔のワケは“現実逃避”?

井上キャスター:
陸上経験者である白井記者と高柳キャスターの2人から見て、田中選手のすごさは、どういうところから感じますか。


高柳キャスター:
テレビを見ていると、「グッと陸上にのめり込み一直線に進んでいく人」だと思っていました。しかし取材をしてみると、とてもかわいらしい一面がたっぷり詰まってる人だな、というのを感じました。

それがわかるのが、練習の合間に書店に立ち寄る一面です。そしてパリオリンピックの途中には、10冊も本を持っていくというような場面もありました。


白井記者:
この書店は、田中選手が合宿の際には必ず訪れている、というお気に入りの本屋さんだそうです。前回合宿に訪れた際には、「10冊以上をまとめ買いした」と話していました。田中選手は読書家としても有名で、小さい頃は早く本が読みたいあまり、学校から家までの距離の2.5kmをいつも走って帰っていた、というエピソードがあります。

そんな田中選手にとって、本を読むことにはもう一つの目的があります。それは「現実逃避をしたい」ということです。実は田中選手は、メンタルに左右されやすい選手でもあります。世界陸上を見据えたときに、「今のままでは戦えない」という思いから、自信を失うときがあるそうです。


「遠征中はエッセイ、試合前はファンタジー系」田中選手の読書のマイルール

高柳キャスター:
そして田中選手には、本を読むときのマイルールというものがあります。

それは、「遠征中はエッセイなどを中心に読む」ことです。人の感情など内面を覗ける本を中心に読みたいということでした。そして試合前になると、「緊張から解き放たれて無心で読める、まさに現実逃避をしたい」という思いから、ファンタジー系や絵本などを中心に読むそうです。


増田明美さん:
田中選手は昔、アイルランド文学にハマっていたときがありました。いまはファンタジーや、あるいは哲学書にも興味を抱いていて、だからこそ話す言葉が本を読んでいる人らしく、語彙が豊富です。一方で、キャラクターは乙女ティック、メルヘンティックな部分もあるんです。


高柳キャスター:
5月18日、日本で田中選手のレースを見ることができます。セイコーゴールデングランプリで1500mに出場予定ということですので、そちらも楽しみですね。


井上キャスター:
白井さんからありましたが、あまりそのイメージがなかったのですが、田中選手はメンタルが左右されやすい選手なんでしょうか?


増田明美さん:
すごく高い次元で戦っているからこそ、お父さまとも喧嘩しながら、レースに向かいます。その意味で、レースにすごくデリケートで、“戦いに行く”ということが怖いんですよね。


出水麻衣キャスター:
その中で、数ある日本記録を樹立していますよね。今シーズン、かなり仕上がりはいいと見てよろしいですか?


増田明美さん:
もう、世界陸上さえ通過点と言っていますので


===================
<プロフィール>
増田明美さん
スポーツジャーナリスト
大阪芸術大学教授
「細かすぎる解説」が話題に
ロサンゼルス五輪マラソン日本代表

白井杏子
TBSスポーツ局
主に陸上を取材
週末はひたすらアイドルの推し活


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