来年4月から食料品の消費税を1%に。実現へ向けた動きが加速していますが、外食離れや思ったほど家計の負担が下がらないなどの懸念も出ています。
【写真を見る】家計は助かる?食料品の消費税率1% 年収別で見る負担軽減額
食料品8%→1%でどのくらい負担減る?
高柳光希キャスター:
政府は5日、食料品の消費税率を2027年4月から2年間、現行の8%から1%に引き下げる方針を閣議決定しました。
食料品の消費税率が8%から1%に引き下げられると、家計はどのくらい負担が減るのか。実は、収入によって負担軽減額がだいぶ違うのです。
<収入200万円以下>
・8%:4万6000円
・1%:5750円(負担約4万円減)
<収入400万円~500万円>
・8%:5万9000円
・1%:7375円(負担約5.2万円減)
<1500万円以上>
・8%:8万8000円
・1%:1万1000円(負担7.7万円減)
(総務省 2025年「家計調査」をもとに作成 / 2人以上世帯のうち勤労者世帯)
より多く、より高額なものを買った人ほど恩恵を受けられるのが、「定率の減税」なのです。
消費税1%のタイミングで本体価格値上げの可能性も
ただ、大きな負担軽減にはならないかもしれません。
例えば、「本体価格1000円の肉」を買う場合、現在は「消費税8%→1080円」。
実際に減税されると、「消費税1%→1010円」になり、70円の負担減になります。
しかし、物価上昇や人件費の高騰などにより、企業がこの減税のタイミングで商品の本体価格を値上げすることも考えられるのです。
結果、「本体価格値上げで1050円の肉」になると、「消費税1%→1060円」に。
減税前(消費税8%→1080円)に比べ20円ほどの負担減にしかならないのです。
ドイツも多くの商品で価格変わらず
TBS報道局 経済部 蓮井啓介記者:
思ったほど(負担軽減額が)下がらなかったということがあるかもしれません。
ドイツでは、消費税にあたる「付加価値税」をコロナ禍だった2020年7月~12月までの間、税率を引き下げました。
しかし、マクドナルドは、減税前「 税込み1.29ユーロ」だったものが、減税後も「 税込み1.29ユーロ」と変わらず。
ほかにも多くの商品で価格が変わりませんでした。減税した分の7割程度しか下がらなかったというデータもあるのです。(財務省の資料より)
イギリスも2020年に「付加価値税」の税率を引き下げた際、当時のスナク財務大臣は「価格転嫁は各事業者の判断に委ねられる」と述べていました。
資本主義経済、自由な経済の中では値下げや値上げ競争がありますので、値付けは各事業者の判断に委ねられます。日本でもどうなるか見通せない状況です。
高柳キャスター:
減税がうまくいった国はありますか?
TBS報道局 経済部 蓮井啓介記者:
確実に全てが引き下がるとは限らず、日本でどうなるかも見通せません。
ドイツのように7割程度しか下がらなかったという事例もあるので、どうなるかは見通すことはできませんが、最終的には、事業者間の競争になるかと思います。
例えば事業者Aが値下げすれば、事業者Bも値下げしないといけないとなれば下がるでしょう。
また、人件費を上げなければならない問題もあるので、判断がどうなるかは2027年4月に答えが出ることになります。
お笑い芸人・プロデューサー 古坂大魔王さん:
選挙で消費税下げると公約した党にみんな投票したので、もう決まったことなので、まずはやる。そしてどうなったかというのを2年後にまた考えていくという方向になっている気がするのですが。
井上貴博キャスター:
消費税の減税にはメリットもデメリットもある。デメリットをあげれば、円安リスク、負担軽減額の効果はあまりない、地方自治体の収入減など、キリがありません。
でも、公約を実現しなければ、「公約違反だ」という批判もある。のるかそるかの大勝負です。
「飲食店つぶすための減税か」外食産業は不利に
高柳キャスター:
食料品が消費税1%になると、最もあおりを受けるのが「外食産業」です。
食料品・弁当などは8%から1%になりますが、外食は、テイクアウトは1%になるものの、レストランの中で食べると消費税は10%のままです。
飲食店を経営する、「ローゼンケラー」店主の小林さんは、「厳しいどころの話ではない。コロナの時と同じ状態になっていくと思う。飲食店をつぶすための消費減税なのか」と不安の声を漏らしていました。
こういった声がある中、政府としてはどのような対策を検討しているのでしょうか。
TBS報道局 経済部 蓮井啓介記者:
「テイクアウト1%」「外食は10%」と、価格差が出てくると、行動原理が変わってきますので、ランチは外食ではなく、テイクアウトにしようという動きになっていくと思います。
そこで政府は、具体的には決まっていませんが、外食・農水事業者など、影響を受けるところへの財政支援を表明しています。
一方、減税することで入ってくる収入は減ることになります。
2年間で10兆円規模の穴埋めが必要になるのですが、高市総理は「赤字国債に頼らず財源を確保」という方針を明確にしています。今後、年末に向けてどのように対応していくのか注目です。
財務省幹部に取材したところ、「2年限定の10兆円なら、無茶ではないが、2年で終われなかったら、円安が加速して物価高に繋がってしまう」と懸念を示していました。
増える財政負担 “2年限定” カギに
高柳キャスター:
高市総理としても、“2年”というところに並々ならぬ思いがあり、「責任を持って私が元の税率に戻す」と話しています。
片山財務大臣も「責任ある積極財政で、経済成長に直結させたい。2年9か月後には消費税を元に戻す条件が整っていなければいけない」と言います。
「戻す」という言葉を使っていますが、国民感情としては、「戻す」ではなく「上げる」ことになる可能性もある。2年後、国民がどう感じるかはまだわかりません。
出水麻衣キャスター:
(2年後に税率は)戻るという前提で、今からその2年後に向けてどう家計を守るか。各自で対策をとることも大事だと思います。
井上キャスター:
給付付き税額控除もスタートできるのか。円安のリスクはどうなるか。今まで日本がやってこなかった消費税率を柔軟に変えるためのシステムの構築。それは社会実験という意義はあるものの、皆さんがどう感じるかというところですね。
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<プロフィール>
蓮井啓介
TBS報道局経済部 財務省担当
“責任ある積極財政”・消費税減税を取材
古坂大魔王さん
お笑い芸人・プロデューサー
2児の父親として育児の様子を発信
SDGsを推進する活動も積極的に行う
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