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東京世界陸上へ新星誕生“191cmの大型ハードラー&次世代スプリンター”【日本学生個人選手権2日目】

スポーツ
2025-04-27 06:00

陸上の学生日本一を決める日本学生個人選手権が、25日からレモンガススタジアム平塚で3日間開催されている。大会1日目には、パリオリンピック™4×100mリレー代表の栁田大輝(21、東洋大)が、男子100m準決勝で今季日本最高となる10秒09を記録すると、男子110mハードル準決勝では、順天堂大4年の阿部竜希(21)が東京2025世界陸上の参加標準記録を突破する13秒26の自己最高記録を更新。学生たちが日本陸上界をリードする活躍を見せた。


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桐生祥秀に憧れる新星スプリンターが初の栄冠

大会2日目の26日、男子100mでは連覇のかかる栁田が「今大会の目的、現状の走りを確認できた」として決勝を棄権。


王者不在の決勝で輝きを見せたのは、同じ東洋大で栁田の1年後輩にあたる大石凌功(20)だった。東京世界陸上の4×100mRの切符を懸けて出場する世界リレー代表の愛宕頼(21、東海大)、西岡尚輝(18、筑波大)など勢いのある面々が揃う中、大石が中盤で加速しトップに立つと力強くフィニッシュ。準決勝で更新した自己最高記録の10秒16には届かなかったものの、自身2度目の10秒1台となる10秒19で優勝を飾った。「これまで個人で全国のタイトルを獲ったことがなかったので素直に嬉しい。決勝では準決勝のタイムを超えられなかったが、これまでの自己記録(10秒20)よりも速く走れたので満足している」と話した。


指導する土江寛裕コーチ(50)は、大石の走りについて「スタートが苦手で、後半にとんでもないスピードで追い込むスタイルの選手」と話し、「この冬は徹底的にスタートの改善をしてきて、筋力強化と動作確認を繰り返しやってきた。非常に真面目な性格で、去年日本インカレで2位に敗れた悔しさをバネに、冬期練習では執念を感じるほどトレーニングに没頭していた」と感心する。


そんな大石は偉大な先輩の背中を追う。100mで日本人初の9秒台を記録した桐生祥秀(29、日本生命)だ。「桐生さんとは高校と大学が同じで、高校3年のときに練習をさせていただき、オンでもオフでもスケールの大きさに驚き、憧れを持った」と話す。


年は9歳離れているが、桐生が京都に拠点を移した際に、練習をともにすることが多かった。「どんなにハードな練習の後でも“もっと走りましょう”と監督に言って、練習をおかわりしていて。僕らは“いや、もう無理だよ”ってくらいキツかったので、正直一緒の練習はつらかったけど、日本のトップに立つにはそれくらいじゃないと駄目なんだ、と気付かされた。オフでは焼肉をご馳走してもらったり、オンでもオフでも本当に偉大な先輩です」と憧れを語った。


大石が次に目指しているのは、9月に開幕する東京世界陸上の舞台。「10秒08を出せばリレーの代表も見えてくる。今シーズンは10秒0台で走れるように頑張りたい」と意気込む。リレーの代表選考では、100mで10秒08、200mで20秒26がひとつの指針として発表されている。初の栄冠を手にした新星スプリンターが、世界を相手に憧れの桐生にバトンを渡す日は、そう遠くない。


身長191㎝の大型ハードラー「ラシッドさんたちもビクビクしているんじゃないか」

男子110mH決勝には、前日に東京世界陸上の参加標準記録を突破した阿部竜希(21、順天堂大)が出場。


世界でメダル争いをする泉谷駿介(25、住友電工)、村竹ラシッド(23、JAL)は大学の先輩。偉大な先輩の背中を追う阿部は、好スタートを決めると他を寄せつけず13秒30のタイムで優勝。準決勝で出した13秒26は今季日本最速、世界でも今季6位の好タイムだ(日本学生個人選手権2日目終了時点)。「ラシッドさんと泉谷さんから連絡がくるかなと思ったんですけど、SNSのリアクションだけだった。それだけでも嬉しかったんですけど、先輩たちは内心ビクビクしているんじゃないですかね」と無邪気に冗談も交えた。「2人は今日のダイヤモンドリーグで、僕のタイムなんか気にならないくらい速いタイムで走ると思う。まだまだ世界で走る先輩方には遠く及ばないです」と謙虚な面も見せた。


今では世界の舞台に手が届くところまで来ている阿部だが、高校時代は全国の舞台で入賞経験はなく、所謂無名の存在だった。それでも「大学で日本一と世界大会出場」を掲げ、20歳未満の世代別でその両方を叶えてみせた。そんな阿部を見出したのは、泉谷と村竹も指導する山崎一彦監督(順天堂大)。「191㎝と高身長な割にスプリント力があるところが阿部の武器。スプリントは2年前から地道に練習してきた成果だと思う。性格は謙虚で、高校時代に活躍した選手ではない分、貪欲さがある。近くで泉谷や村竹の背中を見て、いい目標になっていると思う。本当にこれからが楽しみな選手」と評価する。


今日のレースでは、13秒30の好タイムながらも、後半のハードル間を詰まるように走っていた。男子110mHのハードル間は9.14m、トップ選手はこの間を3歩で飛び越えていくが、一般人からしてみれば、このハードル間を3歩で走ること自体不可能なこと。日本のトップ選手でもこの3歩が“詰まる”のは非常に稀だ。裏を返せば、阿部は相当な可能性を秘めている。「昨日はすごく良い感じで走れていたが、今日は7台目以降で詰まってしまった。その辺りを改善していけば、13秒1台も見えてくると思う」と話す。13秒1台は、パリ五輪の4位に相当するタイム。今夏の国立競技場で偉大な先輩たちとともに、3人で決勝の舞台に立つ姿が見られるかもしれない。


*トップ写真は左から阿部竜希選手、大石凌功選手
 


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