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トランプ政権の利益優先がもたらす世界の混迷…ドイツでは「ヨーロッパ最強軍」目指す軍拡に徴兵制の足音も いま日本に求められる外交力【報道特集SP トランプ2.0とハックされる世界】

海外
2026-10-13 05:00

第2次トランプ政権発足からまもなく2年。ときに強引にルールを曲げる手法はまるで世界をハックしているかのよう。


【写真で見る】「私たちは前線に行きたくない」ドイツで徴兵制に抗議する高校生らのデモ


一方的な関税政策、国際機関からの脱退など自国の利益ばかりを追求するトランプ政権の姿勢は、世界の安全保障にも大きな影響を与えている。ドイツは軍事力拡大に舵を切り、徴兵制の足音まで聞こえている。


トランプ氏の“ハック”は世界秩序をも根底から揺るがしている。トランプ政権でアメリカは、そして世界はどう変わろうとしているのか。


ヨーロッパで相次ぐ「国防費」増額 トランプ2.0が揺るがす安全保障

トランプ次期大統領(2025年1月)
「NATO加盟国は国防費を5%にするべきだ。2%では不十分だ」


ロシアのウクライナ侵攻に対し、NATO=北大西洋条約機構加盟国に国防費を引き上げるよう求めてきたトランプ氏。

ヨーロッパ諸国が相応の負担をしない場合は、「アメリカは守らない」と公言してきた。


トランプ前大統領(2024年2月)
「私なら防衛しない。むしろ、好きに振る舞うようロシアにけしかけるだろう。(国防費を)負担しなければならない(と伝えた)」


2025年の世界の国防費を調査した報告によると、アメリカの安全保障への関与低下で、ヨーロッパ諸国は国防費が記録的に増加。特にドイツが大きく引き上げた。


ドイツ メルツ首相(2025年5月・ドイツ連邦議会)
「今後、政府はドイツ軍がヨーロッパ最強となるために、あらゆる財源を確保します」


第二次世界大戦の反省から軍事力拡大には慎重だったが、「ヨーロッパ最強軍」を掲げ、今の現役兵18万人から10年で26万人に増強すると打ち出している。

国防予算が大幅に増え、活気づいているのが軍需産業だ。


ドイツ西部・ザールラント州。自動車産業が盛んな街にある、自動車部品の加工会社。

自動車産業の勢いが失われていく中で、戦車の部品や弾倉など軍需関連の製造が増えている。いまや売り上げの8割を占めるまでになった。再来年までには10割にするという。


金属加工会社「FWM」 トーマス・フックス社長
「軍需関連がなければ当社は生き残れなかったでしょう」


ドイツでは徴兵制の足音も聞こえ始めている。


徴兵制の復活に揺れるドイツ 高校生「前線に行きたくない」 街中で“入隊宣伝”

2025年12月には徴兵制の復活を可能にする法律が制定された。
18歳になると、入隊への意思を確認する手紙が自宅に送られ、男性には徴兵検査も義務付けられた。


徴兵制に対し、いまドイツの高校生らは…


デモ参加者
「私たちは前線に行きたくない。メルツは自ら前線へ行け」


平日の昼間に学校を抜け出した高校生ら2400人が集まり、徴兵に対する抗議の声を上げた。


デモ参加者(18)
「前線に送り込まれるなんて嫌です。すでに始まっている強制的な徴兵検査にも反対です」


デモ参加者(14)
「自分が殺人者になってしまうなんて、絶対に受け入れられません」


さらに、イラン攻撃への支援が少ないことを理由にトランプ氏は2026年5月、ドイツからアメリカ軍5000人以上を撤退させると表明。


「アメリカに頼ることはできない」との危機感から、街中では軍への入隊を宣伝する看板やポスターがあちこちに展開されている。さらに…


高校生「精神的に耐えられなくなったら?」 軍リクルーター「手厚い体制整っている」

記者
「地域のお祭りが開催されていて、その会場の一角にドイツ連邦軍がブースを出していて、まさにリクルート活動が行われています」


高校生(17)
「手紙が届いても徴兵検査を拒否できますか」

ドイツ軍リクルーター
「なぜ拒否したいのですか」

高校生(17)
「職業訓練を終えてから軍に行きたいのです。海外派遣後に精神的に耐えられなくなったら、どうなりますか」


ドイツ軍リクルーター
「手厚い体制が整っていますよ」


ドイツ軍は、兵士になると手厚い医療が受けられる制度などをアピールしている。


「また同じような境遇に」シリアから逃れた18歳に入隊確認の手紙

18歳の誕生日の2週間後、軍から入隊の意思を確認する手紙が届いたモハメッド・マーズさんに話を聞くことができた。


モハメッド・マーズさん(18)
「受け取ったときは『本当に手紙が届くんだ』と実感しました」


11年前、内戦中のシリアから家族とドイツにやってきた移民で、2025年にドイツ国籍を取得したばかりだ。


モハメッド・マーズさん
「(前大統領のアサド政権下で)シリアでは16歳以上の若い男性が、軍に入れられてしまう状況でした。そこから逃げてきたのに、また同じような境遇に直面するのはかなり辛いことです」


受け取った手紙に記載されているQRコードを読み取ると、「軍に関心があるか」などの質問が表示された。


モハメッド・マーズさん
「関心がないと回答しました。ドキドキして怖いとも感じました。母は手紙を見るなり、すぐに『絶対にダメ』と言いました」


こうした手紙はすでに45万通が送付されているという。


マーズさんは、軍事力の拡大でドイツが暗黒時代に戻ってしまう怖さを感じている。


モハメッド・マーズさん
「ヒトラーの時代、第二次世界大戦や第一次世界大戦を連想してしまいます。それが現在のドイツに戻ってくるのだとしたら、非常に問題だと思います」


トランプ2.0に次々“ハック”される世界で、日本がとるべき道とは?


国際政治学者「日本は無力という思い込みは捨てるべき」 ハックされる世界で日本は

イアン・ブレマー氏は、世界トップクラスの政治リスク分析会社の創設者で、SNSの総フォロワー数は約600万の国際政治学者だ。トランプ2.0によるハックをどう見るのか。


――ルールをハックしシステムをハックする姿勢が常態化していることに懸念は?

国際政治学者 イアン・ブレマー氏
「もちろんある。私はアメリカの低所得者向けの公営団地で育った。父は4歳の時に亡くなり、母は高校中退。それでも私は会社を立ち上げ、グローバル企業へと成長させることができた」
「しかし今、アメリカン・ドリームを信じる人は非常に少なくなっている。裕福な権力者たちが政治に直接影響力を行使し、自分たちに有利なルールを作り不平等を生み出しているからだ。その結果私が育った家庭のような、普通のアメリカ人が取り残されている」


イアン・ブレマー氏
「トランプ氏はまさにその問題を掲げて大統領選に出馬した。彼は『腐敗を一掃する』と言って、庶民に犠牲を強いる『永遠の戦争』をやめると約束した。しかし実際にはどうなったか。私腹を肥やし、超富裕層の税金を減らし、コネを持つ権力者のためにディール(取引)をした。自分に近い人たちを優遇して政治の腐敗をさらに進め、イランで新たな戦争を始めた」


アメリカが国際秩序の担い手から降りようとする中、日本が果たす役割は大きいとブレマー氏は語る。


イアン・ブレマー氏
「冷戦終結までの数十年間、またそれ以降、曲がりなりにもアメリカは世界で民主主義や法の支配を推進してきたが、それも変わりつつある」


イアン・ブレマー氏
「日本は法の支配を重視する国だ。アメリカが国際社会での関与を弱め、中国が影響力を強めようとする中、日本はもっと積極的な役割を果たせるはず」
「防衛費を増やすのではなく、対外援助やソフトパワーの強化、外交に力を入れるべき。世界には日本を信頼できる友人、投資してくれる国、影響力のある国だと見ている国々がある。日本は無力だという思い込みは捨てるべき。国際的な影響力はないと言うのは、自らを弱く無力だと決めつけているようなもの。日本の力を過小評価している」


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