26日に香港の高層マンションで発生した大規模火災、これまでに65人の死者が確認されています。なぜ急速に被害が拡大したのでしょうか。
夜になっても現場周辺では多くの人が消火活動を見つめ、連絡がとれない人の無事を願いました。
記者
「出火から27時間が経ちましたけれども、また火の勢いが強くなってきています」
これは27日に撮影されたマンション内部の写真です。すべてが燃え尽くされ、瓦礫と化していました。
26日に発生した香港のマンション火災。隣接するマンションに次々と燃え広がり、辺り一帯は炎と黒煙に包まれました。
「足場が火事になった」
これは、出火直後とみられる映像です。
「もう4階まで炎上してる」
「早く逃げろ!火事だぞ!」
炎は瞬く間に建物全体に広がります。
「8階まで(炎が)上がったぞ!そこの人逃げろ!崩れてきた!」
マンションの住人
「この燃えている建物に住んでいます。みんなが『火事だ!』と言うから慌てて出てきました。猛烈な火で、うちまで燃え移った」
現場は8棟の高層マンションが立ち並ぶ団地で、4000人以上が暮らしていますが、このうち7棟が燃えました。現場周辺は住宅街で、近くには学校もあります。
燃えさかるマンションと消火活動を住民は見守りました。
マンションの住人
「最初は1棟だけでしたが、こんな短時間で燃え広がるとは予想できなかった」
近所の住民によりますと、このマンションには比較的多くの高齢者が住んでいるといいます。
これまでに消防隊員1人を含む65人が死亡。70人がけがをしています。
妻と連絡がとれないマンションの住人
「火災発生時、妻に『逃げろ』と電話したんだ。でも妻が部屋を出たときには廊下も階段も煙で真っ暗で、部屋に戻るしかなかったんだ」
避難した住人らは、連絡がとれなくなっている人の安否を心配する中で夜を過ごしました。
記者
「火災の発生から24時間が経ちましたけれども、今また火の勢いが強くなってきました」
高層マンションのため消火活動が難航していて、発生から1日以上経っても鎮火には至っていません。
このマンション群は建てられてから40年以上が経っていて、去年7月から大規模な修繕工事が行われていました。
火が短時間で燃え広がった要因について当局は、マンション全体を覆っていた保護ネットが防火基準を満たしていなかった疑いがあるとしています。
マンションの住人
「保護ネットが防火であれば、こんなことにはならなかったはず」
またマンションには、竹でできた足場が組まれているのが確認できます。
竹の足場は丈夫で軽く、コストも抑えられるということで、香港の建設現場では一般的に使用されているということです。政府は安全上の理由から、今年3月に竹の足場から鉄筋に移行するよう促しました。
消防は、マンションが「保護ネットや竹の足場で覆われていたため、火の勢いが急速に拡大した」としています。
また、マンションの住人からは現場で働く人たちがたばこを吸ったあと、吸い殻を捨てる行為が火災につながると懸念する声があがっていたとも報じられています。
警察はこの火災に関連して、工事業者の責任者3人を過失致死の疑いで逮捕。また、工事業者の事務所を家宅捜索し、書類などを押収したということです。
マンションの住人
「すべてをかけて買った家なんです。この火事ですべて失った。どうしたらいいのか」
現場では今も懸命の救助活動が続けられています。
【発生から30時間以上が経った現場から記者中継】
私の後ろに見えるのが火災現場となりますが、現地時間の午後5時すぎから再び火の手があがっていて、現在もはしご車を使った消火活動が行われています。ただ、高層階だったり、中層階だったり複数か所から火が上がっているため、消火活動ができていない場所も見受けられます。
香港メディアによりますと、現地時間の午後7時前にマンションの16階の階段付近で男性の生存者が救出されたということです。
今回、24時間態勢での消火活動は行われていますが、消火活動にあたった消防隊員1人が亡くなっているほか、10人の消防隊員がけがをしていて、非常に危険な中での消火活動が続けられています。
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