JNNが調査分析した衆院選挙の「終盤情勢」の結果を詳しく読み解きます。
【写真で見る】「終盤情勢」公示前議席との差はどれくらい?(JNN調査分析)
自民単独で絶対安定多数も
井上貴博キャスター:
JNNが調査分析した衆院選挙の「終盤情勢」の結果は、以下のようになっています。
【JNN情勢分析】※3日~5日インターネットで実施、取材を加味して分析
<終盤/公示前議席>
▼自民 終盤238~330/公示前198
▼維新 終盤25~38/公示前34
▼中道 終盤55~130/公示前172
▼国民 終盤16~28/公示前27
▼共産 終盤2~9/公示前8
▼れいわ 終盤0~2/公示前8
▼参政 終盤5~14/公示前2
▼ゆう 終盤1~3/公示前5
▼保守 終盤0~5/公示前1
▼社民 終盤0/公示前0
▼みらい 終盤2~8/公示前0
▼諸派・無 終盤3~8/公示前10
自民は公示前の198議席と比較して、終盤の情勢分析では「238~330議席」と上回っています。
中道は、公示前の172議席から、終盤の情勢分析では「55~130議席」となっています。
それだけ接戦区が多いという情勢なのかもしれません。
“選挙の風を作る”無党派層 投票先は?
井上キャスター:
自民は、序盤情勢と比較すると、1週間で30議席近く上積みしたと分析されます。
▼序盤 208~296議席(1月28日、29日)
▼終盤 238~330議席(3~5日)
自民単独で絶対安定多数の「261議席」、さらに自民・維新を合わせた与党で議員定数の3分の2となる「310議席」を確保できれば、自民党として政策の議論はスムーズになります。
<絶対安定多数:261議席>
・全常任委員会で過半数を確保
・委員長ポストを独占
<定数の3分の2:310議席>
参院で否決された法案
→衆院で再可決できる
自民がこれだけ伸びている背景には、無党派層の存在が大きいようですね。
TBS報道局 選挙本部デスク 本杉美樹 記者:
終盤情勢を分析した数字は最終結果を予測したものではなく、5日時点の予測結果ですが、自民が大幅に増やす予想となっています。
「選挙の風は無党派層がつくる」ともいいますが、JNN情勢調査によると、無党派層の投票先は以下のようになっています。
【選挙区 無党派層の投票先】※JNN情勢調査によると
▼自民 序盤 約10%/終盤15%強(+7ポイント)
▼中道 序盤 5%強/終盤 約10%(+3ポイント)
▼未定 序盤 約60%/終盤 約50%
序盤情勢と比較すると、「未定」が約10ポイント減少していることが特徴的です。
「未定」が10ポイント減少した分、自民は約7ポイント、中道が約3ポイント増えています。無党派層の投票先を決めた人の半分以上が「自民にしよう」と決めたということです。それだけ追い風が強くなっているということだと思います。
“ホクホク”“党首討論欠席”…高市総理の発言 影響は?
井上キャスター:
過去の選挙では、総理の発言一つで「風向き」が変わった事例があります。
【高市総理の発言】
▼1月31日(土)
「(円安について)助かっているのが外為特会の運用、いまホクホク状態」
→その後SNSで釈明
▼2月1日(日)
【午前】NHK「党首討論」を急きょ欠席
→番組内では「腕を痛め治療」と説明
【午後】岐阜で応援演説
▼2月2日(月)
「憲法になぜ自衛隊を書いちゃいけないのですか?当たり前の憲法改正もやらせてください」
このあたりは「風」にどう影響したのでしょうか。
TBS報道局 選挙本部デスク 本杉美樹 記者:
無党派層からの支持が伸びている点で、裏を返せばあまり影響がなかったように見受けられます。
与野党の陣営を取材してみると、自民陣営からは「(高市総理の言動について)その話をしてきた人は1人もいないね。誰も何も気にしてないんじゃないかな」といった強気な発言がありました。
一方、中道陣営からは「高市総理の言動について指摘しても、有権者に聞く耳を持ってもらえない」と嘆く声が聞かれる状況です。
高市総理の発言が、それほど今の自民の追い風に影響はなかったと考えられます。
井上キャスター:
今回の選挙戦では、各党がどのように無党派層を取り込むかが問われていますね。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
これまで無党派層の投票先は、最終的に中道やかつての立憲に流れることが多い印象でしたが、今回はむしろ、無党派層が、もともとの立憲、中道から離れる傾向が伝わってきます。
当初、公明の支持母体「創価学会」の票が、小選挙区で立候補した立憲候補に入るのだろうかと疑問を投げかける人もたくさんいましたが、その点はむしろ固まりつつあるように思います。一方で、立憲支持ではないが、無党派層で立憲に入れていた人が、自民やその他の党へ流れている印象です。
高市総理の発言や行動の一つひとつは、これまでの選挙なら「風向き」が変わってもおかしくないものでしたが、それがほぼ響いていないというのは、どう説明していいのか分かりません。
山内あゆキャスター:
情勢分析で「自民党が強い」と分かると、投票行動にも影響はあるのでしょうか。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
自民大勝の予測が出ていると、「わざわざ投票に足を運ぶまでもない」「自分の一票が反映されない」という心理に働くとすれば、天気とも重なって影響が出てしまうかもしれません。しかし、それは避けて、ぜひ大変であっても足を運んでもらいたいと思います。
中道のベテラン安住氏の選挙区 熾烈な争い
井上キャスター:
各メディアが象徴的な選挙区として挙げているのが「宮城4区」。3人の候補が熾烈な争いを繰り広げています。
【宮城4区の情勢】※JNN終盤情勢によると
▼やや優勢 自民・森下千里(44)
▼猛追 中道・安住淳(64)
▼厳しい戦い 参政・佐野誠(41)
TBS報道局 選挙本部デスク 本杉美樹 記者:
大ベテランの中道・安住氏との対戦なので、自民・森下氏は当初「接戦に持ち込めれば善戦」という見方もありましたが、今、少し前に出ているという状況です。
宮城4区は、安住氏の地元である石巻市も含みますが、他にも仙台市のベッドタウンにあたるような地域も含まれていて、無党派層もかなり多いです。
そうした点で、高市総理の人気が森下氏の票に繋がっているということです。無党派層の投票先としては、この1週間で森下氏が15ポイントほど伸ばしているので、かなり追い風になっていると思います。
公明支持層の投票先はどうなる?「中道」やや増加
TBS報道局 選挙本部デスク 本杉美樹 記者:
中道がどこまで公明票を固めてくるのかも鍵になります。
JNNの情勢分析によると、公明党支持層の選挙区の投票先は、序盤と終盤で以下のように変化しています。
【公明党支持者層 選挙区の投票先】※JNN情勢分析によると
▼中道 序盤 約4割/終盤 約5割
▼まだ決めていない 序盤 約4割/終盤 2割弱
▼自民 序盤 1割あまり/終盤 1割あまり
中道は「中道に票を入れる」とした5割以外を取りこぼしているという状態なので、残りの選挙戦の中でどれだけ固めてくるかが、接戦区や差がある区でも追いつく鍵になると思います。
井上キャスター:
公明党の票はある程度組織力があるので、1選挙区で1〜2万票ともいわれていました。しかし、組織力がだいぶ低下していて、高齢化も進んでいるようです。今回の選挙で、組織力もつまびらかにされるという側面はあるのでしょうか。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
公明党から中道の共同代表になった斉藤氏は「底力を見せる」という言い方をしています。今週前半には、創価学会でも引き締めというか、号令がかかったようです。
「まだ決めていない」が約4割から2割弱になり、そのまま中道に乗っていれば中道は「約6割」となっていてもおかしくありませんが、「約5割」にとどまっていて、1割ほどは他へ行ってしまったということです。
公明側の態度が引き締められていなかったり、立憲側の票も逃げるかもしれなかったりと、かなり両方が厳しいという状況が、ベテランである安住氏の情勢にも反映しているのだろうと思います。
期日前投票が伸びず 雪の影響で投票所に“変更”あり!注意!
井上キャスター:
期日前投票がなかなか伸びていないようです。
【期日前投票(2月1日時点)】※総務省より
456万2823人(約12万人↓)
前回衆院選との比較
【青森】73.59%
【富山】69.32%
【東京】101.93%
【奈良】122.95%
また、働き方改革などもあり投票所の開始・閉鎖時間が変更になっています。
全投票所の約42%となる1万8551か所で、開始・閉鎖時刻が変更になります。
また、福島では雪かき対応などのため、全投票所165か所で開始時刻が繰り下げとなります。ご注意ください。
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<プロフィール>
本杉美樹
TBS報道局 選挙本部デスク
情勢分析のブレーン
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説
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