
自転車“青切符”の反則金額を公表
4月24日、警察庁は自転車の悪質な交通違反に対して交付される“青切符”の反則金額を公表しました。113の違反行為が対象で、施行は2026年4月1日を予定しています。
取り締まりの対象は、原付バイクなどの免許取得が可能な年齢で、交通ルールに関して最低限の知識があるとされる16歳以上となっています。
【写真を見る】自転車“青切符”反則金納付へ「ながら運転1万2000円」「傘さし5000円」「逆走6000円」など113の行為が対象【ひるおび】
自転車が関係する事故における死亡者数は、全国で327人(2024年)。
そのうち約8割に、自転車側に信号無視や一時不停止などの交通違反がありました。
さらに自転車の携帯電話やスマホのながら運転による死亡・重傷事故は2024年で28件と過去最多となり、10年間で3倍以上に増えています。
道交法・交通問題に詳しい弁護士 高山俊吉氏:
自動車の事故は、原付なども含めてこの何十年来減っているんですね。自転車が横ばいなんです。
だから比率的に言うと、交通事故の中で占める自転車の事故はだんだん増えている感じになっています。そこが今回の制度改正の一つの理由です。
“青切符”主な反則と反則金(案)
▼1万2000円
・スマホなどの「ながら運転」
▼7000円
・遮断踏切立ち入り
▼6000円
・逆走
・スピード違反
・信号無視など
▼5000円
・イヤホン着用の上必要な音が聞こえない状態で運転
・無灯火
・傘さし運転
・一時不停止
・泥はね運転など
▼3000円
・2人乗り
・並走
・抱っこ運転など
“青切符”線引きは・・・
具体的にはどんな運転が違反になるのでしょうか。
道交法・交通問題に詳しい弁護士の高山俊吉氏に聞きました。
【ケース①】
スマホスタンドにセットされているスマホを、自転車走行中にチラチラ見る
高山俊吉氏:
セットしていること自体を捉えて違反ということはできない。スマホをチラリと見て、自分の何かの参考にするということ自体も禁じられてはいない。
「使用」とか「注視」という言葉は概念に入ってこないだろうと思いますね。
チラリと見る程度であれば、セーフになるという見解です。
下を向いてずっと見ながらの運転は「注視」となります。
高山俊吉氏:
2秒以内というところに絞ってほしいですね。
恵俊彰:
警察官の方がどう判断するのかということですよね。大前提は「大きな事故に繋がらない」ということでしょうね。
【ケース②】
自転車を停車して、自転車からは降りずにスマホを凝視する
高山俊吉氏:
停まっていれば、この行為は法に違反しません。
弁護士 八代英輝:
一旦自転車から降りて操作する必要はないというのは車でも一緒ですね。
ただ信号が変わったのに気づかないで、後ろの車の走行を妨げてしまうようなことがないように注意しないといけないと感じますね。
高山俊吉氏:
凝視、法律の言葉でいう「注視」ということの他に、こういう運転行動自体が安全運転義務違反という別の犯罪の成立の可能性があります。2つの面で問題にされることがあり得るのだと思っていただきたいです。
また、実際にはほとんどスマホを持って片手運転をしていると思います。この片手運転も問題にされることになるので、いくつもの違反が重なってしまっているという危険が、このジャンルの犯罪にはありますね。
【ケース③】
イヤホンを付けて音楽を聴きながら自転車を運転する
高山俊吉氏:
これはちょっと難しいんですよ。現在イヤホンを装着して運転してはいけないという道路交通法の規定はないんです。
ただ、都道府県の条例で「イヤホンはいけない」となっている際、その各都道府県の公安委員会がいけないといったことについては道路交通法が処分するという条項がある。
都道府県によってはイヤホンが問題になるという条件付きの答えとなります。
施行まで約1年
5月24日まで、パブリックコメントを募集した上で正式に反則金額などを決めていき、2026年の4月1日に、自転車の青切符の導入を盛り込んだ改正道路交通法が施行される予定です。
高山俊吉氏:
これからいろいろ決まってきますね。市民感覚というか、皆さんの問題の捉え方を反映しようという意思なので、ぜひ一つの機会と捉えて、自転車のあり方についての皆さんの意見をいろいろ反映させることが必要じゃないかと私は思います。
弁護士 八代英輝:
やはり自転車は一定のスピードが出ているものですから、基本的に運転に集中できる状況でしていただく。被害者を生んでしまうことにもなりかねないので、これぐらいならいいやっていう感覚で運転しない方がいいですね。
恵俊彰:
1年間、ご家庭でも色々と話すいいきっかけになればいいですね。
(ひるおび 2025年4月25日放送より)
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<プロフィール>
高山俊吉氏
弁護士 道路交通法のスペシャリスト
交通法科学研究会 事務局長 著書「入門 交通行政処分への対処法」
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