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2026-09-17 09:10
「隠れ冷え性男子」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「男性は暑がり」というイメージが根強い一方で、夏や気温の高い時期に、冷房などによる「冷え」に悩む男性も少なくないという。暑さ対策が注目される陰で、男性の「冷え」の問題が徐々に顕在化しているのだ。今回は、そんな「隠れ冷え性男子」に焦点を当て、夏の冷えの実態や対策について、男性にも取り入れやすいカーディガンを展開する青山商事の担当者と医師に話を聞いた。さらに、冷え対策という切り口から、男性のビジネスウェアの選択肢や、快適性に対する価値観がどのように変化しているのかにも迫る。
【グラフ】男女でこんなに違う!? オフィスの「冷え対策」事情
■男性は「冷え」を自覚しにくい? “現代ならでは”の体温調節の乱れと対策
今回「隠れ冷え性男子」の存在に注目するきっかけとなったのは、ビジネスウエアを展開する青山商事が実施した「夏場のオフィス環境における意識調査」だ。
同社の調査によると、男性の5人に1人(20.4%)が「空調が効きすぎて寒く感じることがよくある」と回答。その一方で、寒さを感じている男性の28.6%が「特に何も対策をしていない」と答えていることも明らかになった。
もちろん、職場で「冷房が弱すぎて暑い」と感じている男性も30.8%存在する。体感温度の差は、男女の間だけでなく、男性同士の間でも生じているのだ。
この調査について、医師の前田俊恒さんは次のように分析する。
「『男性は暑がりで冷えとは無縁』という従来の固定観念を覆す、非常に現場の実態に即した結果だと感じています。人が暑い・寒いと感じる程度は、性別だけで決まるものではありません。筋肉量や体格、年齢、運動習慣、その日の体調、服装、さらにはオフィスの座席位置やエアコンの風が直接当たるかどうかなど、さまざまな条件によって体感温度は大きく変わるのです」
また、男性と女性では「冷え方」にも違いがあり、男性は自身の冷えを自覚しにくい傾向にあるという。
「男性の場合、筋肉量自体は女性より多いものの、内臓脂肪型肥満による微小循環の低下、過度なアルコール摂取や脂っこい食事、仕事のストレスによる交感神経優位などが冷えの引き金になります。手足が温かくても内臓や腰回りが冷えている『内臓型冷え(隠れ冷え)』が多く、本人が冷えとして自覚しにくい傾向があります」
寒いと感じつつ対策していない男性が多い理由については、「自分は暑がりだと思っていて、冷え対策そのものを意識していないケースも考えられます」という。寒さを感じていても、それを「冷え」と認識しにくいことが、対策の遅れにつながっている可能性がある。
「夏の冷えで特徴的なのは、外は非常に暑いのに、オフィスや電車、商業施設などに入ると急に涼しくなることです。私たちの体には、主に自律神経のはたらきによって体温を一定に保とうとする仕組みがありますが、暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来すると、体温調節の負担が大きくなり、手足の冷えやだるさ、首や肩の凝り、筋肉のこわばりなどの不調を感じることもあります」
【見落としやすい「隠れ冷え」の要因】
・汗をかいた状態で冷房の効いた場所に入る。
・エアコンの風が首・肩・背中・足元などに直接当たり続ける。
・デスクワークや運動不足で体を動かさない
・冷たい飲料やアルコールの過剰摂取
また、クールビズの定着も、男性の冷えを招く要因の一つだという。
「ノーネクタイ・半袖シャツが定着した結果、外気には適した服装である一方、冷房の効いた室内では無防備な状態になっています。『男性がカーディガンやひざ掛けを使う』という意識づけが遅れていたことも、冷えの一因と考えられます」(前田医師)
冷えを感じた場合は、薄手の羽織りものなどで体温を調節し、冷風を直接受けないようにすることが基本。また筋肉を動かすことが血流を促すことにもつながるため、30~60分に一度を目安に立つ・歩く・肩を回す・足首を動かすなど“長時間同じ姿勢を避けること”も大切だという。
「今回の青山商事による調査は、これまで表面化しにくかった男性の『寒いけれど我慢している』という潜在的な状況を可視化した点でも興味深いと思います。 『男性だからこれくらい我慢しよう』と考える必要はありません。適切な暑さ対策と冷え対策の両立こそが、これからのビジネスパーソンにとって重要な健康管理です」(前田医師)
■「寒い」と言えない男性たち――アパレル現場で見えてきた“隠れ冷え性男子”
寒さを感じているのに冷え対策を取らずに過ごす「隠れ冷え性男子」。
青山商事が「男性の5人に1人がオフィスの冷房に寒さを感じている」という調査結果を発表した際、商品部の村上智彦さんは改めて「想像以上に潜在的な悩みを抱える方が多い」と実感したそう。
「デスクワークのお客様からは、『長時間座っていると、足元や首回りが冷えて仕事に集中できない』という声や、クールビズスタイルにされた方からも『半袖シャツにしたら袖がなくて肘や腕が冷えて辛い』といった声を聞くことがよくありました。こうした声は、特に20代〜30代の若い世代のお客様を中心に多く上がっており、オフィスで何かしらの防寒対策を必要とされている方が実はたくさんいらっしゃると感じていました」(村上さん)
これまで夏のビジネスシーンといえば、クールビズに代表されるように「いかに涼しく過ごすか」「猛暑をいかに乗り切るか」という点に注目が集まりがちだった。しかし実際には、屋外の猛暑とオフィスの冷房による温度差にストレスを感じながらも、対策できずに困っている男性たちもいる。
調査では、寒さを感じている男性の28.6%が「特に何も対策をしていない」と回答していることも特徴的だった。女性の9割以上が冷房対策を講じているのに対し、なぜ男性は「何も対策をしない」という選択肢になるのだろうか。
村上さんは、男性向けの冷え対策アイテムが十分に用意されていないことも理由の一つではないかと分析する。
「店頭でも、冷房が寒いけれど何を着ればいいかわからない、会社で浮いてしまうのではないか、我慢すれば耐えられるから、と何もしないお客様がいらっしゃいます。私たちはこの層を、対策をしないというよりは、ビジネスシーンに適した上品な対策アイテムが見つからず、仕方なく我慢している層と捉えています。ジャケットをわざわざ用意して着るほどではないけれど、シャツ1枚では少し寒いという絶妙な温度差のところで、皆さんどうしていいか悩まれているのです」
さらに、男性が「寒さ」や「冷え」を口にすること自体にも、ハードルがあるという。
「男性が冷え対策としてブランケットを常備するのは“やりづらい”といいますか……自分から冷え性だと伝えることも、寒い寒いということにも恥ずかしさみたいなものもあるかと思います。ビジネスの場で余計な私的ノイズを挟みたくないという意識もあり、結局我慢してやり過ごしてしまっているかもしれません」
つまり男性の場合、冷えを感じても「何を着ればいいかわからない」「周囲から浮きたくない」「寒いと言いづらい」といった理由から、対策を取らないまま我慢しているケースもあるようだ。
では、こうした状況は今後変わっていくのだろうか。
■「我慢しない」が新常識に? 変わりゆくビジネスウェアのこれから
長年、日本のビジネスシーンにおいて、男性の服装は「仕事=型(スーツや制服)を守るもの」という意識に縛られてきた。しかし、その常識に変化をもたらしたのが、コロナ禍だった。
「かつては、スーツを制服として毎日着用する時代が長かったのですが、自分自身が快適で、仕事がしやすい服を主体的に選ぶ時代へとシフトしていると感じています。コロナ禍を契機に働き方の多様化や服装の自由化が進み、その日のスケジュールや会う相手に合わせて装いを自分で変えるようになりました。最初は戸惑う声もありましたが、一度この快適さに慣れてしまうと、窮屈だった元の頃には戻れないというお客様が圧倒的に増えています」
型よりも快適さ。自分らしく快適に働くことは、決して「ラクをする」ことではなく、仕事のパフォーマンスを上げるための賢い選択――。そんな認識が、特に若い世代を中心に広がっているという。
この変化は、ここ数年で定着した男性の日傘にも重なる。かつては「男性が日傘を差すなんて」と見られることもあったが、猛暑の中で一度その快適さを知ると、利用する人は少しずつ増えていった。
「これまで男性には選びづらかったもの」が、選択肢として受け入れられていく。その流れは、暑さだけでなく、冷房による寒さへの対策にも広がりつつある。
その一例が、男性向けのカーディガンだ。
女性向けの服では、冷暖房や気温の変化に合わせて、カーディガンやストールなどを着脱する「調整」の選択肢が比較的多い。一方、男性の服装は、上着(ジャケット)を「着るか、脱ぐか」の二者択一になりがちだった。
そんな中間の選択肢として、青山商事が展開する「洋服の青山」が7月に販売を開始したのが、男性向けの「シアーカーディガン」。
「今年トライアルで販売したのですが、売れ行きは好調で今はほとんど在庫がない状況です。潜在的なニーズがまだまだあることを確信しているので、来季は拡大予定です」
好調な販売状況は、“隠れ冷え性男子”など、男性の冷房対策に対するニーズの一端を示しているのかもしれない。
「たとえば今年弊社から発売したハーフパンツも、これまでは『仕事では長いスラックスを履くのが当然』という固定観念がありましたが、ハーフパンツOKという流れが世の中に生まれたとき、『実は暑くてハーフパンツを履きたかった』という潜在的なニーズが一気に表に出てきました。『TPOを大切にしながらも、自分が快適に過ごせるものを素直に選んで表現していいんだ』という空気やマインドが広がることで、服装の多様化はさらに進むのではないかと感じています」
ポロシャツやハーフパンツ、さらには空調服まで登場し、昭和や平成のサラリーマンからは考えられないようなスタイルも広がっている。今後は、どのような多様化が進むと予測されるのだろうか。
「今後は、眩しさや目からの日焼けを防ぐ調光レンズのサングラスや、帽子といった新たなビジネススタイルの可能性についても注目し、検討を進めています。これからもお客様や店舗から直接いただくお声を大切にしながら、より快適な新しい提案をしていきたいですね」
日傘やハーフパンツ、そしてカーディガン。かつては「ビジネスウェア」として想定されていなかったアイテムも、少しずつ仕事の場に取り入れられるようになってきた。
5年後、10年後には、今は当たり前だと思っているビジネスウェアの「型」も、さらに変わっているのではないだろうか。
(取材・文/中西奈津子)
<監修者>
・前田 俊恒(まえだ としひさ)
まえだ整形外科リウマチクリニック 院長。医学博士/整形外科専門医/リウマチ専門医/リハビリテーション科専門医。肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症、スポーツ障害まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調や身近な健康情報についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。
・青山商事 商品第一部 メンズ重衣料企画グループ長 村上智彦
複数の業態で商品企画業務を経験後、2020年に「洋服の青山」のビジカジアイテム担当バイヤーとして着任。現在はビジネスカジュアル~服飾洋品まで幅広いアイテムの商品企画を務める。
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今回「隠れ冷え性男子」の存在に注目するきっかけとなったのは、ビジネスウエアを展開する青山商事が実施した「夏場のオフィス環境における意識調査」だ。
同社の調査によると、男性の5人に1人(20.4%)が「空調が効きすぎて寒く感じることがよくある」と回答。その一方で、寒さを感じている男性の28.6%が「特に何も対策をしていない」と答えていることも明らかになった。
もちろん、職場で「冷房が弱すぎて暑い」と感じている男性も30.8%存在する。体感温度の差は、男女の間だけでなく、男性同士の間でも生じているのだ。
この調査について、医師の前田俊恒さんは次のように分析する。
「『男性は暑がりで冷えとは無縁』という従来の固定観念を覆す、非常に現場の実態に即した結果だと感じています。人が暑い・寒いと感じる程度は、性別だけで決まるものではありません。筋肉量や体格、年齢、運動習慣、その日の体調、服装、さらにはオフィスの座席位置やエアコンの風が直接当たるかどうかなど、さまざまな条件によって体感温度は大きく変わるのです」
また、男性と女性では「冷え方」にも違いがあり、男性は自身の冷えを自覚しにくい傾向にあるという。
「男性の場合、筋肉量自体は女性より多いものの、内臓脂肪型肥満による微小循環の低下、過度なアルコール摂取や脂っこい食事、仕事のストレスによる交感神経優位などが冷えの引き金になります。手足が温かくても内臓や腰回りが冷えている『内臓型冷え(隠れ冷え)』が多く、本人が冷えとして自覚しにくい傾向があります」
寒いと感じつつ対策していない男性が多い理由については、「自分は暑がりだと思っていて、冷え対策そのものを意識していないケースも考えられます」という。寒さを感じていても、それを「冷え」と認識しにくいことが、対策の遅れにつながっている可能性がある。
「夏の冷えで特徴的なのは、外は非常に暑いのに、オフィスや電車、商業施設などに入ると急に涼しくなることです。私たちの体には、主に自律神経のはたらきによって体温を一定に保とうとする仕組みがありますが、暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来すると、体温調節の負担が大きくなり、手足の冷えやだるさ、首や肩の凝り、筋肉のこわばりなどの不調を感じることもあります」
【見落としやすい「隠れ冷え」の要因】
・汗をかいた状態で冷房の効いた場所に入る。
・エアコンの風が首・肩・背中・足元などに直接当たり続ける。
・デスクワークや運動不足で体を動かさない
・冷たい飲料やアルコールの過剰摂取
また、クールビズの定着も、男性の冷えを招く要因の一つだという。
「ノーネクタイ・半袖シャツが定着した結果、外気には適した服装である一方、冷房の効いた室内では無防備な状態になっています。『男性がカーディガンやひざ掛けを使う』という意識づけが遅れていたことも、冷えの一因と考えられます」(前田医師)
冷えを感じた場合は、薄手の羽織りものなどで体温を調節し、冷風を直接受けないようにすることが基本。また筋肉を動かすことが血流を促すことにもつながるため、30~60分に一度を目安に立つ・歩く・肩を回す・足首を動かすなど“長時間同じ姿勢を避けること”も大切だという。
「今回の青山商事による調査は、これまで表面化しにくかった男性の『寒いけれど我慢している』という潜在的な状況を可視化した点でも興味深いと思います。 『男性だからこれくらい我慢しよう』と考える必要はありません。適切な暑さ対策と冷え対策の両立こそが、これからのビジネスパーソンにとって重要な健康管理です」(前田医師)
■「寒い」と言えない男性たち――アパレル現場で見えてきた“隠れ冷え性男子”
寒さを感じているのに冷え対策を取らずに過ごす「隠れ冷え性男子」。
青山商事が「男性の5人に1人がオフィスの冷房に寒さを感じている」という調査結果を発表した際、商品部の村上智彦さんは改めて「想像以上に潜在的な悩みを抱える方が多い」と実感したそう。
「デスクワークのお客様からは、『長時間座っていると、足元や首回りが冷えて仕事に集中できない』という声や、クールビズスタイルにされた方からも『半袖シャツにしたら袖がなくて肘や腕が冷えて辛い』といった声を聞くことがよくありました。こうした声は、特に20代〜30代の若い世代のお客様を中心に多く上がっており、オフィスで何かしらの防寒対策を必要とされている方が実はたくさんいらっしゃると感じていました」(村上さん)
これまで夏のビジネスシーンといえば、クールビズに代表されるように「いかに涼しく過ごすか」「猛暑をいかに乗り切るか」という点に注目が集まりがちだった。しかし実際には、屋外の猛暑とオフィスの冷房による温度差にストレスを感じながらも、対策できずに困っている男性たちもいる。
調査では、寒さを感じている男性の28.6%が「特に何も対策をしていない」と回答していることも特徴的だった。女性の9割以上が冷房対策を講じているのに対し、なぜ男性は「何も対策をしない」という選択肢になるのだろうか。
村上さんは、男性向けの冷え対策アイテムが十分に用意されていないことも理由の一つではないかと分析する。
「店頭でも、冷房が寒いけれど何を着ればいいかわからない、会社で浮いてしまうのではないか、我慢すれば耐えられるから、と何もしないお客様がいらっしゃいます。私たちはこの層を、対策をしないというよりは、ビジネスシーンに適した上品な対策アイテムが見つからず、仕方なく我慢している層と捉えています。ジャケットをわざわざ用意して着るほどではないけれど、シャツ1枚では少し寒いという絶妙な温度差のところで、皆さんどうしていいか悩まれているのです」
さらに、男性が「寒さ」や「冷え」を口にすること自体にも、ハードルがあるという。
「男性が冷え対策としてブランケットを常備するのは“やりづらい”といいますか……自分から冷え性だと伝えることも、寒い寒いということにも恥ずかしさみたいなものもあるかと思います。ビジネスの場で余計な私的ノイズを挟みたくないという意識もあり、結局我慢してやり過ごしてしまっているかもしれません」
つまり男性の場合、冷えを感じても「何を着ればいいかわからない」「周囲から浮きたくない」「寒いと言いづらい」といった理由から、対策を取らないまま我慢しているケースもあるようだ。
では、こうした状況は今後変わっていくのだろうか。
■「我慢しない」が新常識に? 変わりゆくビジネスウェアのこれから
長年、日本のビジネスシーンにおいて、男性の服装は「仕事=型(スーツや制服)を守るもの」という意識に縛られてきた。しかし、その常識に変化をもたらしたのが、コロナ禍だった。
「かつては、スーツを制服として毎日着用する時代が長かったのですが、自分自身が快適で、仕事がしやすい服を主体的に選ぶ時代へとシフトしていると感じています。コロナ禍を契機に働き方の多様化や服装の自由化が進み、その日のスケジュールや会う相手に合わせて装いを自分で変えるようになりました。最初は戸惑う声もありましたが、一度この快適さに慣れてしまうと、窮屈だった元の頃には戻れないというお客様が圧倒的に増えています」
型よりも快適さ。自分らしく快適に働くことは、決して「ラクをする」ことではなく、仕事のパフォーマンスを上げるための賢い選択――。そんな認識が、特に若い世代を中心に広がっているという。
この変化は、ここ数年で定着した男性の日傘にも重なる。かつては「男性が日傘を差すなんて」と見られることもあったが、猛暑の中で一度その快適さを知ると、利用する人は少しずつ増えていった。
「これまで男性には選びづらかったもの」が、選択肢として受け入れられていく。その流れは、暑さだけでなく、冷房による寒さへの対策にも広がりつつある。
その一例が、男性向けのカーディガンだ。
女性向けの服では、冷暖房や気温の変化に合わせて、カーディガンやストールなどを着脱する「調整」の選択肢が比較的多い。一方、男性の服装は、上着(ジャケット)を「着るか、脱ぐか」の二者択一になりがちだった。
そんな中間の選択肢として、青山商事が展開する「洋服の青山」が7月に販売を開始したのが、男性向けの「シアーカーディガン」。
「今年トライアルで販売したのですが、売れ行きは好調で今はほとんど在庫がない状況です。潜在的なニーズがまだまだあることを確信しているので、来季は拡大予定です」
好調な販売状況は、“隠れ冷え性男子”など、男性の冷房対策に対するニーズの一端を示しているのかもしれない。
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ポロシャツやハーフパンツ、さらには空調服まで登場し、昭和や平成のサラリーマンからは考えられないようなスタイルも広がっている。今後は、どのような多様化が進むと予測されるのだろうか。
「今後は、眩しさや目からの日焼けを防ぐ調光レンズのサングラスや、帽子といった新たなビジネススタイルの可能性についても注目し、検討を進めています。これからもお客様や店舗から直接いただくお声を大切にしながら、より快適な新しい提案をしていきたいですね」
日傘やハーフパンツ、そしてカーディガン。かつては「ビジネスウェア」として想定されていなかったアイテムも、少しずつ仕事の場に取り入れられるようになってきた。
5年後、10年後には、今は当たり前だと思っているビジネスウェアの「型」も、さらに変わっているのではないだろうか。
(取材・文/中西奈津子)
<監修者>
・前田 俊恒(まえだ としひさ)
まえだ整形外科リウマチクリニック 院長。医学博士/整形外科専門医/リウマチ専門医/リハビリテーション科専門医。肩こり・腰痛・関節痛などの慢性疼痛から、関節リウマチ、骨粗鬆症、スポーツ障害まで幅広く診療。日常生活に根ざした運動指導・セルフケアの啓発にも力を入れている。肩や膝、腰の痛みなど日常の体の不調や身近な健康情報についても、医学的根拠に基づいた分かりやすい解説を行っている。
・青山商事 商品第一部 メンズ重衣料企画グループ長 村上智彦
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