「イベントは社会を動かす力になる」第12回JACEイベントアワード、最優秀賞はNTTドコモ「ばくモレ展」
2026-06-18 15:26:17

2026年6月16日、一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)は、虎ノ門ヒルズフォーラムで「第12回JACEイベントアワード」を開催した。2014年に創設された同アワードは、国内外の優れたイベントを表彰する日本最大級の顕彰制度だ。
今回は174作品が集結。SNS時代の情報リテラシーや子育て支援、地域活性化など、社会課題と向き合う多彩な取り組みが評価された。最優秀賞には、NTTドコモの体験型展示「ばくモレ展」が選ばれた。
174作品が集結、イベントの新たな価値を示す

JACEイベントアワードは、創造性や革新性に加え、社会への波及効果や時代性を評価する表彰制度として2014年にスタートした。イベントの規模を問わず幅広いジャンルを対象とし、「企業・業界団体部門」「政府・自治体・公的団体部門」「学生・NPO・各種団体・個人部門」の3部門で構成されている。
第12回となる今回は、総応募数174作品の中から各賞が選出された。さらに、ポップアップストアや期間限定ショールームなど、空間体験そのものを評価する「スペースデザイン賞」が新設され、イベントの定義が広がりつつあることを印象づけた。

開会挨拶に立ったJACE副会長の江端昭彦氏は、「SNSの情報漏洩の意識啓発やインクルージョンの促進、それから子育て支援といった、イベントの枠を超えた取り組みが数多く見受けられました」と今年の特徴を語った。
最優秀賞はNTTドコモ「ばくモレ展」

最優秀賞である「経済産業大臣賞(日本イベント大賞)」には、NTTドコモの「ばくモレ展」が選ばれた。同作品は企業・業界団体部門でもゴールド賞を受賞し、二冠を達成している。
「ばくモレ展」は、「写真が漏れる」と「情報が漏れる」を掛け合わせた体験型写真展だ。SNSへの投稿が思わぬ個人情報流出につながるリスクを、来場者自身が体感できる仕掛けによって伝えた点が高く評価された。

NTTドコモ ブランドコミュニケーション部長の福岡麻美氏は、受賞挨拶で次のように語った。
「SNSなどで情報が瞬時に拡散されていく中、その利便性の裏にあるリスクをどのように伝えていくかは社会の課題です」
さらに、「楽しさや驚きを体験の入り口として、普段なかなか関心を持ってもらうことが難しいテーマに自然に触れていただくよう工夫しました」と、企画の狙いを説明した。
イベント終了後も、シミュレーション型ゲームや教育教材へと展開を広げており、継続的な啓発活動へ発展している点も評価につながった。
子育て支援から地域活性化まで、多彩な受賞作品

政府・自治体・公的団体部門のゴールド賞には、子育て世代の課題解決を目指す「託児銭湯」が選ばれた。子どもを預けながら保護者が安心して入浴できる仕組みを提供し、新たな育児支援の形として注目を集めた。

学生・NPO・各種団体・個人部門では、農地を舞台に地域の魅力を発信する「農道音楽祭-nouon- 2025」がゴールド賞を受賞。
111回の歴史を持つ「別府八湯温泉まつり」もブロンズ賞に選ばれ、伝統行事の継承と発展への取り組みが評価された。

また、特別賞には2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が選出された。万博関連イベントの応募が多数寄せられたことを受け、個別ではなく万博全体を顕彰する形となった。
プロが評価した「映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム」

イベント業務管理士約2,500人による投票で決まる「イベントプロフェッショナル賞」は、「映画『8番出口』東京メトロ脱出ゲーム」が受賞した。東京メトロ全線を舞台に、参加者が実際に駅を巡りながら謎を解く周遊型イベントだ。

受賞したメトロアドエージェンシーの佐々木平太氏は、「10万人近い方にお越しいただきました。駅が非常に混雑し、そのバランス調整には苦労しました」と振り返る。
そのうえで、「イベント業務管理士のプロの方々に、それを認めていただけたような気がして、とても嬉しく思います」と喜びを語った。
運営面の難易度が高い大規模イベントでありながら、来場者体験と安全性を両立した点が、実務のプロたちから高い支持を集めた。
イベントは「体験」を通じて社会を変える

第12回JACEイベントアワードでは、情報リテラシーや子育て支援、多様性の推進、地域活性化など、社会課題をテーマにしたイベントが数多く受賞した。共通していたのは、課題を一方的に伝えるのではなく、参加者が楽しみながら「自分ごと」として捉えられる体験設計だ。
選考委員長の中村利雄氏が「イベントは時代を創造する力がある」と語ったように、イベントの価値は単なる集客や話題づくりにとどまらない。人々の意識や行動を変え、新たなつながりを生み出す場として、その役割は今後ますます広がっていきそうだ。
JACEイベントアワード公式ページ:https://award.jace.or.jp/
情報提供元: マガジンサミット