富士山のふもとで週末ダイビング!東京近郊 奇跡のととのいスポット、大瀬崎
2025-12-10 07:00:03

週末になっても仕事のことが頭から離れない。
疲れていないのに、ととのわない——
そんな日には、東京都内から車で2時間半。
世界屈指のダイビングスポット、大瀬崎(おせざき)に行ってみてはどうだろう。
伊豆半島の西側に細長く伸びるこの岬は、富士山の頂から駿河湾の最深部まで、約6,300メートルの落差が連続する世界的にもまれな地形に抱かれている。
富士山に降った雪や雨が海底から湧き上がり、黒潮や河川水と混ざり合うことで、ジンベエザメやマンタ、リュウグウノツカイまでも姿を見せるという豊かな海が育まれる。2025年の環境省調査では水質の最高評価を受け、冬には25m先まで見通す透明度を誇る。
大瀬崎でダイビングレンタルを行うホテル『ネイチャーイン大瀬館』の石井さんは言う。
「世界にこうした海はほかにもありますが、都心近郊でアクセスできる場所は大瀬崎だけですね。海外のフォトグラファーも潜ると驚きます。」
ダイビングには、心をととのえる作用があると言われている。
顔を水につけた瞬間から心拍が落ち着いていく「ダイビング反射」
さらに水中では浮力が働き、身体のこわばりがゆるむ。自然と心がととのっていく。

ここでは、子どもたちの海洋合宿も行われている。科学教室に通う小学3年生から高校2年生までの25人が、自作した水中ドローンを用い、大瀬崎の海を科学的に調査する。三日間でデータ取得から分析、報告書作成まで行う本格的なプログラムだ。
東京から参加した中学一年生の男子児童は、アンケートに今回のプログラムの意気込みをこう記していた。
「プログラミングで未来を変える仕事がしたい。でもその前に、海の生き物がどうしてこう生きているのかを知りたかった」
自然は、癒しだけでなく学びの入口にもなる。大瀬崎では、その学びが時間の層へと静かに続いていく。岬の先端には飛鳥時代創建と伝わる大瀬神社が佇み、その周囲には国の天然記念物・大瀬崎ビャクシン樹林が広がる。千年以上にわたり潮風に耐えた木々が境内の内外に根を張り、自然と人が積み重ねてきた時間が、特有の景観をつくっている。
ところで、『ネイチャーイン大瀬館』は、70年続いた宿『大瀬館』を不動産会社レーサムが事業承継して再生した施設。長年この地でダイバーを受け入れてきた役割を受け継ぎ、大瀬崎のマリンアクティビティを今も支えている。
同社は、大瀬崎では、海の生態系といった自然に着目した事業再生を手掛ける一方で、京都や神戸などでは、建物や街並みに息づく歴史的建造物の再生を手がけてきた。「自然」と「歴史」、一見、異なるものに取り組む理由として、レーサムの小町剛社長はこう話す。
「不動産というと、建物そのものに目が行きがちですが、少し先の未来から見つめると、人々の営みや時間の積み重ねにこそ価値があると気づかされます」
自然と歴史、それらが重なる大瀬崎は、その本質を実感できる場所だ。
心がととのう場所は、案外すぐそばにある。
情報提供元: マガジンサミット