【第8回日本スケートボード選手権大会・ストリート】織田夢海が3連覇&小野寺吟雲が3回目の優勝!2026年アジア大会日本代表が内定
2025-11-04 11:00:52

11月1日から2日に東京オリンピックの会場にもなった有明アーバンスポーツパークで、第8回日本スケートボード選手権大会supported by Murasaki Sportsストリート種目が開催され、男子は小野寺吟雲(15歳)が日本選手権通算3度目となる優勝を飾った(第5回、第6回大会で優勝、第7回大会は出場していない)。
前回大会王者の佐々木音憧(18歳)が2位、八島璃央(16歳)が前回大会と同じく3位となった。

女子は織田夢海(19歳)が大会3連覇!2位は女子で唯一90点台のトリックを見せた、13歳の松本雪聖。
  3位には同じく13歳の尾関萌衣が表彰台入りした。
パリオリンピック金メダリストの吉沢恋(16歳)はランセクションで2位につけるも、ベストトリックでビッグスピンフリップ フロントサイドボードスライドを決めきることができず決勝7位。
先月ストリートリーグパリ大会で優勝した上村葵(16歳)はランをフルメイクできず決勝6位となった。

注目だったのが、今大会最年少出場者となる10歳の本間恋愛菜。
  準決勝では12段のハンドレールで、キックフリップフロントサイドボードスライドを決めると、見事初の決勝進出を果たし、決勝でも同トリックをメイクした(決勝5位)。
今回の日本選手権優勝者と準優勝者には、2026年9月に愛知県名古屋市で開催予定のアジア競技大会の出場権が与えられる。
【変更になったストリート種目のルール】
日本選手権ストリート種目決勝は45秒間自由にコース内を滑るランを3本と、1発技を行うベストトリックを3本行い、ランの最高スコア1本とベストトリックの最高スコア1本を合わせた、2本の合計得点で順位が決まる(3/3/2形式)。
準決勝はラン2本とベストトリック3本(2/3/2形式)。
  採点は5人の審査員が100点満点(小数点以下2桁まで)でおこない、最高点と最低点を除いた残り3つの平均点で採点される。
昨年の日本選手権やパリオリンピックではランを2本、ベストトリックを5本行い、ランのベストスコア1本と、ベストトリック上位2本を合わせた合計得点(2/5/3方式)だったのに比べると、今回のフォーマット変更は戦略を立てる上でも大幅な変更となる。
  特にベストトリックは1本のみの採用なので、トリックレパートリーを揃えることより1つ大技を決めれば良くなり、最終局面での一発大逆転も見どころになりそうだ。
ちなみに、東京オリンピックの時はランをミスしても、ベストトリックを4本決めれば上位争いができたが(ランとベストトリック上位4本の合計点)、パリオリンピックの際はランが必ず1本得点に採用される事になったのが重要なポイントとなった(ラン1本ベストトリック2本の合計点)。
【日本選手権3連覇/織田夢海】

予選を5位で通過し、準決勝2位で決勝に進んだ織田夢海。
  決勝のラン1本目ではフルメイクの滑りを見せて76.33点を獲得。
  2本目のランでは難易度を上げた滑りを見せる。

以下、織田夢海の2本目のラン。
  8段レールでキックフリップフロントサイドボードスライド、ギャップ越えのバンプtoバンプをキックフリップ、12段ハンドレールでフロントサイドフィーブルグラインド、バンプtoレッジでキックフリップバックサイド50-50グラインド。
  最後はバンプtoレッジでバックサイドKグランド ノーリーキックフリップアウトをフルメイクし89.20点を獲得。
3本目はフルメイクすることができなかったが、ランセクション首位でベストトリックに進む。

以下、織田夢海のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(12段ハンドレール)キックフリップ フロントサイドボードスライドをメイクし85.43点。
  2本目(12段ハンドレール)キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドをミス。
  3本目(12段ハンドレール)キックフリップ フロントサイドフィーブルグラインドをミス。
ランでKグラインドからのノーリーフリップアウトを決めたことで他を引き離し、ベストトリックでも1本目に早々と高得点を重ねた織田が今大会を制した。
優勝インタビューでは「3連覇はすごく嬉しいし、地元名古屋で開催されるアジア選手権の出場権を獲得できてすごく嬉しいです」と話した。
【将軍レールを制した/松本雪聖】

予選をトップ通過、準決勝は3位で決勝に進んだ松本雪聖。
  決勝のラン1本目。
  レッジにキックフリップバックサイド50-50グラインド、5段レールにバックサイドスミスグラインド、クォーターパイプでバックサイド50-50グラインドをすると、ノーリーでバンクイン。
  続けてバンプからのハバでフロントサイドノーズグラインド、ギャップ越えのバンプtoバンプをキックフリップ、レール越えのオーリー、メインセクションとなる将軍レール(ギャップtoレール)でバックサイドリップスライド、バンプtoレッジでキックフリップフロントサイド50-50グラインドをフルメイク。
  東京五輪にも使われた広いコースのセクションをまんべんなく使い、難易度の高いトリックでスピーディにテンポよく滑りきり80.52点を獲得。
2本目と3本目ではラストトリックを、キックフリップフロントサイドノーズグラインドに難易度を上げるもメイクすることができず、ランセクション4位でベストトリックに進む。

以下、松本雪聖のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(将軍レール)キックフリップ バックサイドリップスライドをミス。
  2本目(将軍レール)キックフリップ バックサイドリップスライドを着地でミス。
  3本目(将軍レール)キックフリップ バックサイドリップスライドをメイクし93.66点を獲得。

ベストトリックを2本続けて外し、後がなくなった3本目に今大会女子で唯一となる90点台のトリックを決めきる精神力の強さを見せた。
【誰も攻めないレールを攻略/尾関萌衣】

予選を3位で通過し、準決勝トップで決勝に進んだ尾関萌衣。
  決勝のラン1本目。
  12段ハンドレールでバックサイドリップスライド、クォーターパイプでフロントサイド5-0グラインド、バンプからのレッジでフロントサイドノーズグラインド、バンプからのレッジでフロントサイドスミスグラインド、クォーターでターンをしてから8段ステアでキックフリップ、バンプtoギャップレールでバックサイドフィーブルグラインド。
  ラストトリック将軍レールでの、バックサイド50-50グラインドを時間内に入れることができなかったが76.44点を獲得。
ラン2本目ではラストトリックの、将軍レールでのバックサイド50-50グラインドを時間内に収め、83.66点を獲得。
  3本目はラストトリックをフロントサイドリップスライドに変更してフルメイクするが時間内に収めることができず、暫定3位でベストトリックに進む。

以下、尾関萌衣のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(バンプtoギャップレール)バックサイド5-0グラインドを、バランスを崩しながらもメイクし82.63点を獲得。
  2本目(将軍レール)フロントサイド5-0グラインドをメイクし71.53点。
  3本目(将軍レール)サラダグラインドを狙うが、ジャッジの判断はノーズの角度をずらしきれてないという判定だったのか5-0グラインドより得点は伸びず、66.93点。
最終的にはラン、ベストトリックともに誰も攻めなかったバンプからのギャップtoレールを攻略し、3位で表彰台入りを果たした。

【驚異のスキルとメイク率/小野寺吟雲】

予選3位、準決勝トップ通過で決勝に進んだ小野寺吟雲。
  決勝のラン1本目をフルメイクし92.87点、2本目もフルメイクで93.85点。
  3本目のランではさらに高難度のトリック構成で得点を更新する。

以下、小野寺吟雲のラン3本目。
  12段ハンドレールでフロントサイドブラントスライド バリアルフリップアウト、バンクでスイッチヒールフリップフェイキー、バンプtoレールでキックフリップバックサイドテールスライド ビッグスピンアウト。
  将軍レールでスイッチフロントサイド270ボードスライド、バンプでハーフキャブキックフリップ、クォーターパイプでキックフリップフェイキー、5段レールでビッグスピンキックフリップ フロントサイドボードスライドフェイキー、クォーターパイプでブラントからフロントサイドキックフリップアウトをフルメイクし、95.28点を獲得。
将軍レール以外全てのトリックが回し技、そして驚愕なのが3本ともノーミス(3本合わせて135秒間、超高難度のトリックを24回)という驚異の滑りを見せ、佐々木音憧に次ぐ2位でベストトリックに進む。

以下、小野寺吟雲のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(将軍レール)バックサイドテールスライド ビッグスピンフリップアウトをミス。
  2本目(将軍レール)バックサイドテールスライド ビッグスピンフリップアウトを着地でミス。
  3本目(将軍レール)バックサイドテールスライド ビッグスピンフリップアウトを決め、96.87点を獲得。
ベストトリックを2本続けて外し、後がなくなったにも関わらず、3本目もトリックを変えることなく挑みきり、これを完璧にメイクして最後の最後に、自身3度目となる日本一に輝いた。
神業的なデッキコントロールもさることながら、特筆すべきはメイク率にある。
  東京オリンピックの会場となった、スケーターから見ると困難極まるコースを45秒間ノーミスで3本滑りきるという、もはや理解不能な精神力と技術の高さが他の追随を許さない要因の一つにある。
表彰後のインタビューでは、追い込まれてからのラストトリックについて聞かれると「自分を信じて突っ込んだだけです(決めることができて)最高です」と話した。
【ラン& ガン/佐々木音憧】

予選トップ通過、準決勝を6位で決勝に進んだ佐々木音憧。
  決勝のラン1本目はフルメイクすることができなかったが、2本目のランでは93.39点の高得点を獲得。

3本目ではさらに得点を上げたランを見せる。
  以下、佐々木音憧3本目のラン。
  12段ハンドレールでバックサイドノーズブラントスライド、ピラミッドで360キックフリップ、レッジでバックサイドKグラインド、バンプtoレッジでアーリーウープからのフロントサイド180フェイキー50-50グラインド。
  12段ハンドレールでキャバレリアルバックサイドリップスライド、クォーターパイプでフロントサイド50-50グラインド、バンプtoレッジでノーリーフロントサイドノーズスライド、バンプでバックサイド360、クォーターパイプでフロントサイドブラント。
  最後に8段ハバレッジでノーリーフロントサイド180ノーズグラインド180アウトをフルメイク。
2本目のランではラストトリックがぎりぎり45秒のブザー後だったが、3本目ではしっかり時間内に収めると、得点を96.10点に伸ばしランセクション首位でシングルトリックへ臨む。

以下、佐々木音憧のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(8段ハバ)キャバレリアル フェイキーノーズグラインドをミス。
  2本目(8段ハバ)キャバレリアル フェイキーノーズグラインドを決め92.45点。
  3本目(将軍レール)キャバレリアル バックサイドノーズブラントスライドをミス。
フルスピードからハンマーを次々と決める滑りは、まるで速攻でシュートを決めていくバスケのラン&ガンのようで、見ている者にスケートボードの格好良さとはこれだ!と言わんばかりの滑りで観客を沸かせ、ベストトリックでもしっかりと90点台のトリックをメイクし、見事準優勝に輝いた。
表彰後のインタビューで今後の目標を聞かれると「前回のオリンピックには出れなかったので次は出たいです」と話した。
【フリップインハンマー気質/八島璃央】

予選を11位通過、準決勝は7位で決勝に進んだ八島璃央。
  決勝のラン1本目では、中盤でミスがありフルメイクすることができず。
  2本目はフルメイクの滑りを見せるが、ラストトリックのキックフリップフロントサイドノーズグラインドは時間内に収めることができずに終わる(86.26点)。

以下、八島のラン3本目。
  12段ハンドレールでキックフリップフロントサイドリップスライド、バンプで360キックフリップ、バンプtoレッジでバックサイド180フェイキー5-0グラインド、5段レールでスイッチバックサイドボードスライド、クォーターパイプでフロントサイドブラント、8段レールでフロントサイドノーズブラントスライド。
  ギャップ越えのバンプtoバンプをオーリーで越えて、レール越えのワンフット フロントサイド180、最後は8段ハバレッジでキックフリップフロントサイド50-50グラインドを時間内にフルメイク。
  ラストトリックは2本目に見せたキックフリップフロントサイドノーズグラインドより難易度は下がるものの、時間内にしっかり収めて88.52点を獲得し、暫定4位でベストトリックへ進む。

以下、八島璃央のベストトリック。
  ※()内はセクション名
1本目(将軍レール)キックフリップ フロントサイドリップスライドを決め95.24点。
  2本目(将軍レール)キックフリップフロントサイド50-50グラインドをミス。
  3本目(将軍レール)ふたたびキックフリップフロントサイド50-50グラインドを狙うがミス。
特徴的なスタイルでもある、高い打点でキックフリップをキャッチしてからのレールやレッジトリックを存分に見せつけ、今大会3位でフィニッシュした。
【第8回日本スケートボード選手権大会・男子ストリート結果】

1位 小野寺 吟雲(15)-192.15[92.87/93.85/95.28/0.00/0.00/96.87]
  2位 佐々木 音憧(18)-188.55[61.31/93.39/96.10/0.00/92.45/0.00]
  3位 八島 璃央(16)-183.76[58.55/86.26/88.52/95.24/0.00/0.00]
  4位 根附 海龍(22)-181.54[75.12/90.22/56.93/91.32/0.00/0.00]
  5位 池田 大暉(19)-180.03[84.48/77.01/75.42/95.55/0.00/0.00]
  6位 濱村 大征(18)-172.14[79.92/32.58/78.33/92.22/0.00/0.00]
  7位 長井 太雅(18)-171.31[47.75/73.24/77.80/0.00/0.00/93.51]
  8位 佐々木 来夢(21)-170.74[75.65/63.27/73.35/0.00/95.09/0.00]
【第8回日本スケートボード選手権大会・女子ストリート結果】

1位 織田 夢海(19)–174.63[76.33/89.20/48.70/85.43/0.00/0.00]
  2位 松本 雪聖(13)-174.18[80.52/74.11/73.59/0.00/0.00/93.66]
  3位 尾関 萌衣(13)-166.29[76.44/83.66/74.41/82.63/71.53/66.93]
  4位 丹野 莉愛(14)-143.94[47.19/71.72/72.44/0.00/0.00/71.50]
  5位 本間 恋愛菜(10)-138.20[55.34/38.81/37.75/0.00/0.00/82.86]
  6位 上村 葵(16)-118.42[42.28/0.00/38.24/0.00/76.14/0.00]
  7位 吉沢 恋(16)-86.56[65.95/55.94/86.56/0.00/0.00/0.00]
  8位 榎並 琴音(12)-52.55[41.94/52.55/26.54/0.00/0.00/0.00]
  ※[]内はスコア内訳
写真と文 小嶋勝美 スケートボード放送作家&ライター
情報提供元: マガジンサミット