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【ゾッとする怖い話】夜中に中古のソファへ目をやると…?

2025-06-08 08:00:00

ホームステージング

ホームステージング 古びた一軒家

先月、久しぶりに実家へ帰った。

母親から「家を売ることにした」と聞いて驚いたけれど、歳も歳だし、駅近のマンションに引っ越すらしい。


俺が最後に住んでいた、あの古びた一軒家。

思い出が詰まってるから、少し寂しくもあったが、時代の流れってやつだ。


母親は最近、「ホームステージング」を頼んだと言っていた。

要は、家を高く売るために、家具や小物をきれいに整えてプロっぽく見せるサービスらしい。

業者が入って、モデルルームみたいに仕立ててくれるってわけだ。


「なんかね、全部業者さんがやってくれてお洒落にはなったんだけど…夜とかちょっと気持ち悪いのよ」

母親が笑いながら言った。

「だって、知らない人が触った家具が家中にあるんだもん。もう“うち”って感じしないのよ」


そのときは深く考えなかった。

夜、実家に泊まった。

ホームステージング 怖い話 リビング

1階のリビングはすっかり模様替えされていて、白いソファにガラスのローテーブル、グレーのカーテン、間接照明が灯る落ち着いた空間。

確かに、ちょっと他人の家みたいだった。


深夜、ふと目が覚めた。

水を飲もうとリビングに降りたら――ソファに誰か座っていた。

ホームステージング 怖い話 女性

女性だった。


長い髪に、白いシャツ。

顔はうつむいていて見えない。


最初、母親かと思ったが、違う。

明らかに、知らない女だ。


声をかけようとして、息をのんだ。

ホームステージング 怖い話  揺れる女性

その女、ソファの上でじわじわと揺れている。

しかも、まるで家具にしがみつくように。


じり、じり、じり。

ホームステージング 怖い話 俯く女性

身動きできないまま見ていると、女がゆっくり顔を上げた。


ホームステージング 怖い話 白い面をかぶった女性

――顔が、なかった。

肌がただ、滑らかに平らになっていた。


目も口もない。

ただの白い“面”。


気がついたら、俺は自分の部屋に飛び込んで鍵をかけていた。


翌朝、母親に昨日のことを話そうか迷ったが、やめた。

代わりに、さりげなく聞いてみた。

「家具、どこから持ってきたの?」


母親は何気なく答えた。

「リサイクル業者さんの倉庫からって聞いたよ。ほら、処分された家具とかも混ざってるって」


――じゃあ、あのソファ。

誰かが、捨てたものかもしれない。

何かを、棄てたものかもしれない。


しばらくして実家が売れて、新しい家族が入った。

若い夫婦と小さな女の子。

母親も俺もホッとしていた。


でも先週、久しぶりに母親から電話があった。

「ねえ、あの家、また売りに出されてるんだって」


理由はわからない。


でも、母親はこう言った。

「女の子がね、夜中にずっと言ってたんだって。“リビングに顔のないお姉ちゃんがいる”って」


※取材をもとに編集を加えたフィクションです


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情報提供元: michill (ミチル)